重松清・茂木健一郎「涙の理由 〜人はなぜ涙を流すのか〜」宝島社(2009年2月)★★★★☆

涙の理由

涙の理由


これまたとんでもなく良い本。
 
対談をまとめたこの本を読み進めると、ギリギリまで研ぎ澄まされた二人の
イメージがぶつかり合うその熱が感じられる。
一言ひとことが鋭く重厚なのである。
とんでもない人間の生のパワーが文字を通じて伝わってくる。
 
人の感情というものについてここまで考察した本というのはなかなか無い。
驚愕、特に第5章は圧巻。
 
現代を生きる日本人の多くは、映画を見て、小説を読んで、涙を流す。
他の人々と同じように、涙を流す。
 
それは、マーケティングによって意図的に生み出された、
大量生産された涙のようである。
 
しかし本来、涙というものは、自分の人生全体を背負っている自分にしか
その本当の意味が分からない、至極個的なものであって、
一回性のものであるはずである。
 
人生のうちで、そんな素晴らしい涙を流せるのは、そう何度もあることではない。
誰かと同じ色の人生を歩んでいては、素晴らしい涙は流せない。
激しく自分を貫いて、良い涙を流そうではないか。
  
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