内田樹「街場の現代思想」文春文庫(2004年7月)★★★★☆

街場の現代思想 (文春文庫)

街場の現代思想 (文春文庫)

  • 近代プチブルの「醜悪さ」は、彼らに十分な資産がないことでも、十分な教養がないことでもない。そうではなくて、その「不十分さ」を過剰に意識するあまり、それを恥じ、それを隠蔽しようとし、自分よりもさらに醜悪なプチブルを探し出して、自分の優位を誇り、それを嘲笑することに熱中するさまである。
  • 問いに応じるに問いを以てする。問題の「次数を一つ繰り上げる」ことによって、当面している問題をまったく別のパースペクティヴから眺めることを可能にする。
  • 「やり直しが利く」という条件の下では、私たちはそれと知らぬうちに「訂正することを前提にした選択」、すなわち「誤った選択」をする傾向にある。
  • 人間を人間たらしめている決定的な資質とは「他者と共生する能力」である。
  • 人間の身体はリアルタイムで動いているのではない。ちょうどリールが釣り糸をを巻き込むように、「未来」が「現在」を巻き取るような仕方で動くのである。私たちは、輪郭の鮮明な「未来像」をいわば「青写真」に見立てて、その下絵とおりに時間をトーレスしてゆく。だから、ネガティヴな未来像を繰り返し想像する習慣のある人間は、その創造の実現に向かってまっすぐ突き進んでゆくことになる。
  • 想像力を発揮するというのは、「奔放な空想を享受すること」ではなく、「自分が『奔放な空想』だと思っているものの貧しさと限界を気づかうこと」である。
  • 倫理的でない人間というのは、「全員が自分みたいな人間ばかりになった社会」の風景を想像できない人間のことである。

  (その他は「はてなハイク」参照)

 
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