谷沢永一・渡部昇一「大人の読書」PHP(2009年3月)★★☆☆☆

大人の読書

大人の読書


渡部先生が読書を語っているので購入して読んでみた。
 
年を重ねてから読むべき本が紹介されておりかなり興味があるけれども、かなり教養レベルが
高くないと読みこなせないと思われる本ばかり。
未熟な私がこれらの本を手に取れるのはいつの日のことか。
 
さて、この本の中で渡部先生が述べている興味深いことをメモ。
 

(P.31)
ほとんどだれも知らない英語ですが、トウティポテンシー(totipotency)という言葉があります。生物学で、全能性あるいは分化全能性と訳されます。「一つひとつの細胞には、さまざまな機能に分化して、その個体全体に成長していく全能性が秘められている」ということを意味します。
たとえば生物が生まれるときには、一つの細胞である受精卵から、さまざまな器官に分化していくわけです。通常は、細胞が一度分化して一つの機能を獲得すると、別の機能を獲得していくことはできなくなります。これをユニポテンシー(unipotency)と言います。文化単能性と訳すようです。爪に分化した細胞は、爪になるところだけの機能がオンになっているわけです。
しかし、クローン技術などといった生物学の新しい研究が進んで、一度分化した細胞から、再びさまざまな器官に分化させられることが確かめられるようになりました。現に、植物などでは比較的簡単に、一度分化した細胞を再分化させて、もう一度完全な個体を作り出すことができるといいます。理論的には、人間のすべての細胞にも、そこからその人間全体を再生できる能力が秘められている。爪の細胞からだって人間全部が再生できるようになるかもしれない。これをトウティポテンシー(totipotency)と言うのです。
そのアナロジーで言いますと、子供というのはトウティポテンス、つまり全能性があって、何にでもなれるのです。ところが、その何にでもなれる可能性を一つひとつ殺して、つまりユニポテンスになり、大人になってきたわけです。
しかし(中略)、殺しきれないでオンにできるものが残っているのではないか。それを探していこう、というのが第二の人生を豊かにするために大いに参考にすべき考え方だと思うのです。

 
いつかは読んでみたいと思った本。

・北康利「白洲次郎 占領を背負った男」
・瀧川政次郎「東京裁判を裁く」
伊藤整「氾濫」
萩原朔太郎「恋愛名歌集」

 
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