茂木健一郎「化粧する脳」集英社新書(2009年3月)★★★☆☆


女性の化粧を切り口として書かれた本。
 
他者とのコミュニケーションを通じて自分自身をメタ認知し、知性や人間性を発達させる。
その重要性が細かく書かれており有用であった。

(P.33)
自己の人格は他者の数だけ多面的であり、可塑性が高いもの。

(P.38)
人間の本質は、他者とコミュニケーションをする社会的知性に表れる。ミラーニューロンの機能にみられるように、他者の心を読み取ることは、自身の心の奥行きを知ることに他ならない。自己は、他社との関係性においてこそみいだされ、その本性を知ることができるのである。

(P.51)
「自分のことは自分がいちばんわかっている」と思うのは大きな誤解である。自分のほんとうの顔、ほんとうの声は自分ではわからない。見ることができる、聴くことができるのは自分以外の人、つまり他者だけだ。事故は、他者を通してしか確認することができないのだ。

(P.64)
ピアプレッシャーは、「他の人と同じになりたい」「同じにすべきだ」というプレッシャーの一つ。(中略)女性の化粧の基準にも、このピアプレッシャーは深くかかわっているといわざるを得ない。それは没個性といった消極的な性質のものではなく、どちらかというと共感能力を持つがゆえの感覚、もしくは共同体意識のようなものだ。他の人と同じであると安心する、より一体感が深まる、そんな効果があるのかもしれない。ピアプレッシャーは、社会的な協力関係を高度に発達させた人間だからこそ抱く感覚なのだ。

(P.66)
人間はきわめて高度な社会的知性を持っている。そして脳がいちばん喜ぶのは、他者とコミュニケーションをとることだ。逆にいえば、人間は他者との関係なしに、知性を育み、人間性を築くことはできない。

 
★↓ランキングに参加中。ワンクリックするだけで投票になりますので1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ