岸本葉子「微熱の島 台湾」朝日文庫(1996年10月)★★★☆☆

微熱の島 台湾 (朝日文庫)

微熱の島 台湾 (朝日文庫)


本書は、岸本氏が1987年の戒厳令解除直後の台湾を旅して記した本。
当時の状況なども見て取れ、面白く拝読した。
 
台湾の本質に迫る良書。
特に最後の二章は素晴らしかった。
 
前半は、初めて訪れた台湾で目に映る光景をありのままに描いた初々しさがある。
しかしながら次第に台湾という不思議な場所を少しずつ知り、その深さに気づいた
他の日本人の多くと同様、歴史や文化、戦争、そして何よりも日本と日本人とは何かと
いうことを深く考えこむ様子が見て取れる。
 
台湾という場所の懐かしさを、言葉で表現することは非常に難しい。
また、日本と日本人にとっての台湾の重要性を知っている日本人は非常に少ない。
こんなにも近い台湾が、日本と日本人にとって遠い存在であることをいつも悔しく思う。
 
時間は、得てして我々が覚悟するよりも早いスピードで過ぎてゆく。
 
時を追うごとに、日本人として生きた経験を持つ台湾人の人々は間違いなく少なくなってゆく。
ぜひとも早いうちに多くの日本人が岸本さんのように台湾の田舎を旅して、いろいろと
感じ、考えてほしいと思う。
 
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