カルロス・ゴーン「ゴーン道場」朝日新書(2008年11月)★★★☆☆

ゴーン道場 (朝日新書)

ゴーン道場 (朝日新書)


どんな質問に対しても、明快に回答するカルロス・ゴーン氏。
その一言一句から、重要なことをたくさん学ぶことができる素晴らしい本。
 
1. モチベーションについて

(P.25)
"The most important asset of our company is the motivation of our employees." 

(P.17)
心の通い合い、つながりを持つことです。部下が関心を持っていることは何なのか。そこに関心を向けるのです。(中略)自分から部下に歩み寄り、何がモチベーションの原点かを見極めなければなりません。(中略)部下の方から言ってくるのを待っていてはダメです。

(P.41)
どんなときに人はモチベーションを上げるのか、どんなときにがっかりするかを観察するのです。(中略)上司を見ていれば、何が部下を動機づけるか、何が退屈させるか、部下がフラストレーションを感じるのはどんなときか、いろいろなことが学べるんです。

(P.83)
「リスクを負え」と言うならば、「絶対に成功しろ」と言うのは無理です。

(P.117)
どんなに困難なことも、人々の心と情熱に訴え、もうひと頑張りする気にさせることができれば、いろいろなことが可能になるのです。ある研究で、ビジネスマンの業績のうち、仕事上の知識や技術によるものはたった15%であり、残りの85%は仕事への取り組み姿勢や人との接し方によって決まる、と読んだことがあります。

 
2. 革新について

(P.67)
革新の大半は異なる領域同士の交流から生み出されます。同じ領域から、人々があっと驚く革新が生まれることはまれなんです。(中略)一つの領域で蓄積してきたスキルを、まったく違う領域に適用させるんです。すべての開発の歴史は「交流」と「組み合わせ」がカギになっています。(中略)創造とは常識にとらわれず、様々な知識の組み合わせから訪れるひらめきなんです。

 
3. 国際人について

(P.97)
「考え方が違う」と割り切ったり、違いを批判するのではなく、何を学べるかを見るべきなんです。(中略)違いを尊び(appreciate)、違いから学ぶことを身につけていくのです。

(P.100)
国際的に活躍する人には、共通する特性(attribute)があります。その最たるものは、自分と違うものに対して興味を持ち、敬意を払える姿勢です。

(P.106)
自分とは違う人間から学ぶ方が多くのことを学べます。(中略)まったく違う人間だと、びっくりしたり衝撃を受けたりする。そうやって自分自身の領域を広げ、新しいロジックを発見することがあります。

 
4. リーダーシップについて

(P.112)
(リーダーの)第一の責任は実情を正確に把握すること。(中略)自ら注意深く聞き、質問をし、観察しないといけない。それは客観的事実から状況を判断することを意味します。先入観を捨てるということでもあります。(中略)感情を抜きにしないといけない。あらゆる人に、どこがうまくいっていると思うか、何がうまくいっていないと思うか、どうしたらもっとうまくいくようになると思うかを聞いて回りました。3ヵ月ほどで1千人以上に会ったのではないでしょうか。

(P.114)
(第二は)魅力的なビジョンを描くとともに、伝えること。(中略)ビジョンは共有されていなければならないし、またそれは魅力的なものでなければならない。(中略)信頼できる計画づくりもまた、リーダーシップの責任です。解決策に優先順位をつけること。(中略)優先順位の低い分野でいい仕事をしても時間と能力の無駄遣い。エネルギーや資源の浪費です。

(P.117)
リーダーを際立たせる資質は三つ。モチベーションを喚起すること、信頼を得ること、成果を示すこと。

(P.118)
真のリーダーシップとは年齢や肩書、性別や権力とは別物です。リーダーシップとは性格、勇気、成果によるものが大きい。何をしたか、ではなく、あなたがどういう人か、その表現なのです。

(P.119)
平均点の成果しか示さない偉大なリーダーなんて存在しません。

(P.121)
チャンスを与える、それこそがリーダーシップというものの本質なのです。リーダーシップとは、他の人の備え持つ可能性を解放してあげる能力です。他の人が自分で可能だと思う、それ以上のものを達成させる。その手伝いをすることなのです。よりリーダーはさらに多くのリーダーを創り出すものです。

 
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