堤未果「ルポ 貧困大国アメリカ」岩波新書(2008年1月)★★★★☆
- 作者: 堤未果
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/01/22
- メディア: 新書
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日本では決して報道されることのないアメリカの現状を見事に捉え、露わにした本。
このような本を執筆することこそが、真のジャーナリズムであると感激した。
それにしてもアメリカの実情は想像をはるかに超えてひどいものである。
アメリカという国は少なからず、いやひどく傲慢で自国中心的であることは以前から思っていたが、
自国民に対してもこれほどひどい政策を取っているのかとあきれ果てた。
この本の中で最も強烈なインパクトがあるのが、第5章の「世界中のワーキングプアが支える
『民営化された戦争』」である。
アメリカ発の問題が全世界を巻き込み、とんでもない事態になっていることを暴露する。
この第5章は、現代を生きるすべての人に一読していただきたい文章である。
第5章の中から、一部を紹介する。
この箇所を読んで興味を持ったならば、是非この本を手に取っていただきたい。
(P.146)
グローバル市場において最も効率よく利益を生み出すものの一つに弱者を食いものにする「貧困ビジネス」があるが、その国家レベルのものが「戦争」だ。
(P.177)
「もはや徴兵制など必要ないのです」
「政府は格差を拡大する政策を次々に打ち出すだけでいいのです。経済的に追いつめられた国民は、黙っていてもイデオロギーのためではなく生活苦から戦争に行ってくれますから。ある者は兵士として、またある者は戦争請負会社の派遣社員として、巨大な利益を生み出す戦争ビジネスを支えてくれるのです。大企業は潤い、政府の中枢にいる人間たちをその資金力でバックアップする。これは国境を超えた巨大なゲームなのです」
今、我々の想像をはるかに超えたとんでもないことが起きている。
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