齋藤孝・梅田望夫「私塾のすすめ」ちくま新書(2008年5月)★★★★☆

私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)

私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)


この本を読みだしたらあっという間に引き付けられて一気読み。
このお二人にはどんどんご活躍いただき、本やブログなどでとにかく多くのことを
発信し続けていただきたいです。
 

(P.28)
齋藤さん:天才とか偉人と呼ばれている人は、学ぶことがうまい。あるいは学ぶ情熱にあふれているので、そういう人たちのほうが、ヒントを多く与えてくれる気がします。
大きな仕事をする人というのは、向き合っているトラブルもまた、ふつうの人より多い。そういうトラブルの乗り越え方というメンタリティの面でも、勉強になります。

自分が直面するトラブルは、量、大きさともに、大したことがないのだと
考えることができた。
これは重要なことで、結局誰しも「自分が一番忙しい」「自分が一番大変だ」
といった思考になりがちであるから、時に冷静に自分を見つめ返すための
言葉をいただいた。
 

(P.125)
梅田さん:「自分が組織から与えられるもの」と「自分が組織に対して与えているもの」の天秤が傾いたとき(「与えているもの」のほうが重くなったとき)に辞める、というのが、僕のロジックなんです。

なるほど、と素直に思う。
人と組織の関係が大きく変化している中で、このようなフラットなロジックを
提示してもらえると、少なくとも一つの判断基準とすることができる。
 

(P.129)
梅田さん:みんな、「ノー」と言われるのがいやなんだな。というか、断られることに対して弱い。あたかも、人格を全部否定されたかのように思ってしまう。これを改めたらいいと思います。
人間が人間を理解するとか、ある人が何かをしたいと思ったときに、相手がきちんと受け止めてくれるということのほうが、めったにおこることでない。そういう事実を、ベースにおかなきゃいけないと僕は思います。

このコメントも胸に強く残った。
自分はやはり「ノー」という言葉にめっぽう弱い。
それを強く言われると、思い切りダメージを食らう。
 
確かに梅田さんがおっしゃるとおり、相手がきちんと受け止めてくれることの方が
めったにないのだから、本来は気にするべきことではないのだ。
(もちろん、自分勝手はダメだが)
 
ノーと言われることを恐れずに、打席に多く立つことを心がけよう。
打率ではなくて、ヒットの本数で考えていこう。
 

(P.167)
梅田さん:「生活が作品」というのが、僕の意志なんです。朝から晩までで、いつ何をやるか。「時間の使い方」に徹底的にこだわります。あるやり方をどのように続けていき、いつがらりと変えるか。その全体が作品だという気持ちを強くもっています。
(P.174)
梅田さん:自分の時間の使い方において、志向性と合わないことをやるのは断固拒否します。そういう意味でわがままです。
(P.183)
梅田さん:圧倒的な情報を前にしている。そうすると、情報の取捨選択をしないといけない、あるいは、自分の「時間の使い方」に対して自覚的でなければならない。流されたら、本当に何もできないというのが、恐怖感としてあります。

時間の使い方は人生そのものであると思う。
だから、時間を有効活用できなくなるということに対する恐怖心はおのずと大きくなる。
 

(P.204)
梅田さん:現在の日本社会でまかり通る価値観:
・「時代の変化」への鈍感さ
・これまでの慣習や価値観を信じる「迷いのなさ」
・社会構造が大きく変化することへの想像力の欠如
・「未来は創造し得る」という希望の対極にある現実前提の安定志向
・昨日と今日と明日は同じだと決めつける知的怠惰と無気力と諦め
・若者に対する「出る杭は打つ」的な接し方
大人たちが発する何気ない言葉の数々が、子どもたち、若者たちの心を萎えさせ、悪影響を及ぼし、社会全体の活力をそいでいる。

 
この箇所から、ものすごいエネルギーと怒りを感じた。
私はこの見解に対して完全に同意できる。
これらの価値観を駆逐すること、それが私にとっても人生のひとつの目標である。
 
梅田さんの本はすべて読んでいるけれども、いつもながら前向きになれる本でした。
本当にありがとうございます。
梅田さんは私のロールモデルです。
 
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