黒川清「イノベーション思考法」PHP新書(2008年3月)★☆☆☆☆
- 作者: 黒川清
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2008/03/15
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 10回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
政策研究大学院教授、内閣特別顧問という肩書を持つ黒川清さんの作品。
「イノベーション思考法」というタイトルに期待して読むも、ほとんどは過去のことと現状分析。
もともと知っていることが多かったことに加え、思考法についてはあまり記載されていなかったことから、
得るものは少なかった。
その中でも、印象に残った箇所あり。
(P.132)
アメリカは80年代半ばに鉄鋼がつぶれ、優秀な人たちが一斉に外に出ざるを得ない事態が生じました。
アメリカ社会はそこから変わった一面がありますが、日本の企業はつぶれずに生き延びさせたせいで、
アメリカとは逆に、若い優秀な人たちが大企業に入り続けました。
そして、年功序列、終身雇用、退職金という制度を前に、みんなが単なるサラリーマンに甘んじて、
会社ではなく自分をつぶしていきました。
イノベーションが起こりにくい社会を、手に手を取って、せっせと維持し続けてきたわけです。
「会社ではなく自分をつぶして」という言葉が印象的。
まさしくそのとおりである。
こうして、日本のサラリーマンたちは思考能力が奪われ、自己変革を行わなければならないという
意識が欠落し、ゾンビになってしまったのである。