茂木健一郎「すべては音楽から生まれる」PHP新書(2008年1月)★★★★☆

すべては音楽から生まれる (PHP新書)

すべては音楽から生まれる (PHP新書)


「音楽」というこの上なく不思議なものを、無限の可能性を含めて見事にあらわした作品。
これまた、茂木先生はものすごい本を書いたものだ。

(P.18)
「美しい」「嬉しい」「悲しい」「楽しい」・・・。一瞬一瞬に生身の体で感動することによって、人は、自己の価値基準を生み出し、現実を現実として自分のものにできるのである。それが「生きる」ということである。だからこそ、本当の感動を知っている人は、強い。生きていく上で、迷わない。揺るがない。折れない。くじけない。
音楽は、そんな座標軸になり得る。音楽の最上のものを知っているということは、他のなにものにも代えがたい強い基盤を自分に与えてくれるのだ。

(P.77)
モーツァルトが作曲について、そして自分自身について語った言葉〜
『ヴォルフガング、忘れちゃいけないよ、皆が君のような才能の持ち主ではないんだ。君にとっては、何もかもが簡単すぎるんだ』というのです。「簡単だって」とぼくは言い返しました。みんなそんな風に思っているのです。ヨーロッパ中の宮廷を周遊していた小さな男の子だった頃から、ぼくは同じことを言われ続けています。目隠しをして演奏をさせられたこともありますし、ありとあらゆる試験をやらされました。こうしたことは、長い時間かけて練習すれば、簡単にできるようになります。ぼくが幸運に恵まれていることは認めますが、作曲はまるっきり別の問題です。親しい友であるあなたには誓って言いますが、長年にわたって、ぼくほど作曲に長い時間と膨大な思考を注いできた人は他に1人もいません。有名な巨匠の作品は、すべて念入りに研究しました。作曲家であるということは、精力的な思考と、何時間にも及ぶ努力を意味するのです。

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