Dynamic equilibrium(動的平衡)

「秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。」
Rudolf Schoenheimer
 
「生命とは動的平衡(Dynamic equilibrium)にある流れである。」
福岡伸一

エントロピー(乱雑さ)増大の法則は容赦なく生体を構成する成分にも降りかかる。高分子は酸化され分断される。集合体は離散し、反応は乱れる。たんぱく質は損傷を受け変性する。しかし、もし、やがては崩壊する構成成分をあえて先回りして分解し、このような乱雑さが蓄積するよりも早く、常に再構築を行うことができれば、結果的にその仕組みは、増大するエントロピー系の外部に捨てていることになる。
つまり、エントロピー増大の法則に抗う唯一の方法は、システムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろその仕組み自体を流れの中に置くことなのである。
つまり流れこそが、生物の内部に必然的に発生するエントロピーを排出する機能になるのだ。
福岡伸一「生物と無生物のあいだ」講談社現代新書、P.166-167より)

人体を含めたすべての生物は、常にその個体が有するすべての分子が高速で入れ替わっている。
これが、生物の中での秩序を守るためのシステムなのだ。
 
この考察は生物科学的にだけでなく、企業、自治体、国家などの組織、この人間が住む世界全体、
さらには宇宙もこの法則によって動いている。
いかにこの「流れ」を構築するか、それが秩序を生み出す自然の摂理かもしれない。
 
これを知れた、考えることができたことは私にとって大きなことだった。
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