茂木健一郎「脳内現象」NHKブックス(2004年6月)

脳内現象 (NHKブックス)

脳内現象 (NHKブックス)


なぜ人(私)に意識は芽生えるのか。
 
本書は、デカルトの近代合理主義が生み出した「近代科学」がタブー視してきたこの問題対して、
昨今の脳科学がどのようにアプローチし追及しているか、その戦いと難解さも含めて
現在分かっていること、有用な仮説は何かを明快に示している学術書である。
 
「意識はメタ認知ホムンクルスのメカニズムを通じて生み出される脳内現象である」というのは
非常に革新的な仮説である。
革新的な仮説を見たとき、革新的であるはずなのに、なんだか当たり前のことを言っているような
錯覚を味わうことがある。
プラトンが言う「イデア」を思い出しているような、まさにそんな感覚。
知らないことなのに、きっとそうだろうと確信できる瞬間。
 
しかしながら、この世の中で最も複雑難解な問題、それは私の意識が何故存在するのか
ということだと思うから、まったくもって油断はできぬ。
このなぞが解ければ、ノーベル賞なんて何十個もらっても足りないくらいの成果。
こんなとっておしもない茂木先生のこの追及はまだまだ始まったばかりだから、
今後数十年に渡る彼の研究成果をウオッチするのが楽しみである。
 
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