「出水兵児修養掟(いずみへこしゅうようおきて)」

注:揆奮館流武術HPより抜粋。
 
士ハ節義を嗜み申すべく候。
 
節義の嗜みと申すものは口に偽りを言ハず身に私を構へず,
心直にして作法乱れず,
礼儀正しくして上に諂らハず下を侮どらず人の患難を見捨てず,
己が約諾を違へず,
甲斐かいしく頼母しく,
苟且にも下様の賎しき物語り悪口など話の端にも出さず,
譬恥を知りて首刎ねらるゝとも,
己が為すまじき事をせず,
死すべき場を一足も引かず,
其心鐵石の如く,
又温和慈愛にして,
物の哀れを知り人に情あるを以て節義の嗜みと申すもの也。

【口語訳】
人は正しいことをしないといけない。

正しいこととは,うそを言わないこと,自分よがりの考えを持たないこと,
素直で礼儀正しく,目上の人にぺこぺこしたり目下の人を馬鹿にしたりしないこと,
困っている人は助け,約束は必ず守り,何事にも一生懸命やること,
人を困らせるような話や悪口などを言ってはいけないし,
自分が悪ければ首がはねられるようなことがあっても弁解したりおそれたりしてはいけない,
そのような強い心を持つことと,小さなことでこせこせしない広い心で,
相手の心の痛みがわかるやさしい心を持っているのが,立派な人と言えるのです。