ロジカルシンキングとグローバルビジネス

自分がロジカルであるとは言い切れないが、そんな私から見ても日本人にはロジカルに
考えられない人が多い。
特にグローバルビジネスの場では「ロジカルが公用語」と言って良いくらい重要なことなのに、
その当たり前のことが分からないのである。
 
私はだいぶ前から、
ビジネスでは「よりロジカルに」、
プライベートでは「より人情的に」
を心がけてきた。
 
ビジネスの場では、誰の発言であろうとロジカルでないものはロジカルにきっぱりと指摘してきたし、
他人から「お前の意見はおかしい」と言われれば素直に反省し、自分がロジカルでなかった
場合は素直にあやまるのである。
 
この基本が分からない、社内の偉い人とこの調子で議論すると、
「お前はオレを否定するのか」
「お前はオレのやり方が間違っているというのか」
「生意気だ、お前は言いすぎだ」
といった言葉が出てくる。
目をつけられることもしばしばある。
(確かに、私の言い方が下手ということもあるが・・・この点は改善必要)
 
このように言われるとき、私は別にその人自身を否定しているのでもないし、その人が
間違っていると言っているのではない。
「その人が発言したその一言がロジカルでない」と言っているのだ。
 
また、こんな例がある。
台湾政府は、製造業の生産拠点が急速に中国大陸へ移転していることに対し、国内空洞化の
懸念を強く持っており、様々な産業振興策を打ち出している。
具体的に、国内に生産拠点を残すための様々な施策が実施されているのが事実である。
しかしながら新進気鋭の台湾IT企業は、その政府の考え方、施策に対し敬意や理解を示すものの、
実際は台湾工場をすべて閉鎖し全生産工場を中国に移転した企業も多い。
なぜかといえば、そうしなければこのドックイヤーのスピードでグローバル競争が熾烈に
行われている世界では、生き残れないからである。
 
これを、「台湾のために」とか、「今まで当社に尽くしてくれた工場の従業員のために」とか
いう議論に終始し誤った決定をしてしまうと、最終的には台湾や当社に尽くしてくれた
工場の従業員だけでなく、会社が競争に負けて破綻し、会社に関わる者すべて
(台湾政府への税金支払いも当然なくなるので台湾に対しても)が不幸になるのである。
こんなことは、米国でMBAを取得し具体的にロジカルシンキングを学んでいる、
大手IT企業を立ち上げ、優秀な頭脳をもった若き台湾人からみれば当たり前のことなのである。
 
グローバルビジネスの舞台でロジカルに話ができないということは、
はっきり言って「死にいたる病」である。
ちょっと厳しいようであるが、これはとても重要なことと思う。
これが分からないと、いくらがんばっても結果が出ないのがグローバルビジネスである。
 
もちろん、従来の日本的なビジネスのメソッドや考え方は今も有用であるから、
それとの使い分けやアウフヘーベンが日本人グローバルビジネスパーソンとしての
アイデンティティになるのではないかと考えるのである。