ヨーナス・リッデルストラレ、シェル・A・ノドストレム「成功ルールが変わる！」PHP研究所（2004年10月）★★★★☆

成功ルールが変わる!―「カラオケ資本主義」を越えて

世界の劇的な変化を感じて、自分の危機意識を醸成するためにもってこいの一冊。
ダニエル・ピンクの「ハイ・コンセプト」ような本。
強烈なインパクトをいただいた本書に感謝。
　

戦いに備えよ。

ルールがダイナミックに変わった世界で自分の想像をはるかに超えた大競争がはじまるのである。
　

個人

• 人には何でも知り、どこへでも行き、何をしてもいい自由が与えられた。人はどんな人物にもなれる自由を手中にした。選択する権利があり、いつでもそれを撤回できる。
• ネットは、我々に好きなことを知り、好きなところへ行き、好きな人物になる自由を与えた。（中略）インターネットは個性を際立たせる。
• 知識を持った者は本当の意味で何でも知り、どこへでも行くことができ、そしてまさしく誰にでもなりうる。エリートは世界を股にかけて活躍するが、一般人は狭い地域に留まる。
• 少数の人々は国家さえも選択できる。カネとスキルのある者は、国に残るも出るも自由。
• 個人は全員、注目を浴びる競争をしている。個人は他人の目をひき、認められ、そして感心されたいのだ。

多様化

• 他人の世界は私の世界とは違い、私の住む宇宙は他人の住む宇宙とは違う。現実世界と我々の生活は、どんどん多様化している。
• 社会がますます複雑になるにしたがい、社会自体が、複雑化した問題に対処できる人間を選び出すことになるだろう。

変化

• 西側諸国が2世紀以上かけて築き上げた伝統的な社会関係資本は、たったの1世代で消えようとしている。家族の崩壊、個人化、そして孤独が新しい現実となった。
• 不確実性は、これまでもそうだったが、これからも社会不安を生み出す。社会分裂を理解し、ますます進む個人主義化がもたらす社会制度の真空の中で行動する資質と意志を持たない者は、これから苦労することになるだろう。
• 変化がスタンダードの状態になるのに従って、我々は変化に対応しきれない人を多く見ることになるだろう。
• 今日、価値観は一時的なものになった。
• 我々の民主主義の概念は、本質的に、閉じられた地理という条件に基づいている。しかし、今はそうではない。
• マッキンゼーの研究によると、世界で生産されたものの20％が、世界市場で取引されているという。30年後には、この数字は80％まで伸びると予測されている。我々はまだ何も見ていないのに等しい。
• 人は変化を好まないのではなく、自分が変えられることを嫌う。

ルールブレイカー

• 国境によって閉ざされた世界、伝統的な家族の価値、教会への義務的参加、生涯雇用など、もはや世界には存在しないものを守り、ひいてはその再生を企んでいる人々がいる。しかし、このような人々は、どんなことをしても、未来は狂信的な根本主義者の手ではなく、個人の制度改革者の手にあることを理解していないのだ。権力はルールを信奉する者から、ルールを破る者、そしてルールを作りかえる者へシフトしているのだ。
• 度が過ぎること以上に成功に結びつくものはない。
• 勝者は敗者よりも多くの間違いを犯す。間違いを犯さない人は寝ているはずだ。
• どこに所属するのかと、誰とつながるのかは、今や一致しない。
• 死んでいる馬に乗っていることが分かったら、一番よいのは、その馬から降りることだ

経営

• ほとんどの組織では、中心部ではなく周辺部で変化に出会う。組織のいわゆる底辺にいる人は、トップに君臨している者よりも何が起きているかをよく知っている。前線に配置されている者こそが、重大な決定を下すのに最もよいポジションにいる。
• 才能は、柔軟性のある環境で栄える。個性化は柔軟性を伴い、また柔軟性を要求する。
• 頭の切れる人材を雇って、その人たちに『これをしろ』というのは意味がない。私どもは頭の切れる人材に、私どもが何をすればよいのかを教えてもらうために雇う。

危機意識

• あらゆる知識労働者は、もはや安全ではない。
• 人はインプットしなければ、アウトプットされる。
• ほとんどの人間には、未知のものや不確かなものに抵抗する力が、本能としてインプットされている。
• 時間はピラミッドの底辺にいる人が唯一使える資源である。
• 知識は非常に早く価値を失うので、新しいエリートは24時間働かなければならない。

その他

• 従来の革新は平均的な人に注目したものであったが、今では、極端な人が世界を支配している。
• 1オンスの感情は、1トンの事実よりも効果的である。
• あらゆる分野の偉業は、すべて情熱の上に成り立っている。