ハロルド・L・サーキンほか「新興国発超優良企業」講談社(2008年10月)★★★☆☆
- 作者: ハルロド・L・サーキン,ジェームズ・W・ヘマリング,アリンダム・K・バッタチャヤ,水越豊,中山宥
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/10/07
- メディア: 単行本
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ボストコンサルティンググループのメンバーが執筆した本。
本書のキーワードは「Globality」。
単なるグローバリゼーションの時代から、「あらゆる国々」の「あらゆる人々」と「あらゆるもの」を
競い合うグローバリティの時代になったとの認識がベースとしてある。
もはや人材、企業とも国籍はまったく関係ない。
例えば、シンガポール人がアメリカで会社を設立し、工場をメキシコと中国に持ち、コールセンターを
インドに設立し、イギリスとブラジルの企業と提携して、ヨーロッパとラテンアメリカへ製品を
販売するといったことがあたり前の世の中になってきたのである。
さらに、これらの新興企業が行っているのは、単なる欧米企業のマネではない。
高度なMBAの知識や既存勢力の戦略をうまく利用しながらそれを独自に進化させて、あらたな
戦略で世界展開しているのである。
私も台湾在住時に、QUANTA、FOXCONN、ASUSTEK、WISTRON、CHIMEIなどの
新興超優良企業とかかわり、この目で見てきただけでなく実際にビジネスを行う中で
そのとてつもないパワーとスピードを体感してきた。
彼らの売上高や利益は倍々ゲームで増えていく。
ここにあげた5社だけでも、合計の売上高は軽く10兆円にのぼるのである。
これはあくまでも世界で起きていることのごく一部であり、実際はインド、中国、ロシア、
ブラジルなど、あらゆる新興国で起きていることなのである。
一方、多くの日本人は世界でそんな大きな動きがとてつもないスピードで進行していることを
ほとんど知らないし、知ろうともしない。
何より恐ろしいのは、これらの動きが自分には関係がないと考えていることである。
見方を変えれば、短期的には知らないというのが一番幸せである。
しかしながら、中長期的に考えると、知らないことは言うまでもなく命取りになる。
グローバリティの認識、まずはそこから始める必要があるのではないだろうか。
我々は、過去にないほど刺激的な世界に生きている。