ビル・トッテン「愛国者の流儀」PHP研究所(2008年3月)★★☆☆☆

愛国者の流儀

愛国者の流儀


初来日から38年経過した2006年に、晴れて「日本人」となったビル・トッテン氏の作品。
 
かなり「偏り」があるけれども、さすが元アメリカ人だけあって、
アメリカの行き過ぎた行動を的確に指摘している。
 
戦後のアメリカ支配下において、いかに日本国民がマインドコントロールを受けてきたか、
その結果として日本人の「考える力」が欠落してしまった原因の一部が示されている。
 
また、トッテン氏が指摘する、グローバリゼーションへの警告も、決して目新しいもの
ではないが、あらためてそのインパクトの大きさを考えさせられるきっかけとなった。
 
グローバリゼーションの進展とITの発展が相まって、我々は多くを享受しているが、
一方で世界全体において貧富の差が拡大する一要因ともなっている。
 
マルクスエンゲルスは、今日のグローバリゼーションをここまで予想していなかった
だろうが、結果的に彼らが示した「資本主義が行きつく課題」に近い状況となっている。
 
史的唯物論に基づく弁証法でいえば、当然の結果なのかもしれない。