福岡伸一「生物と無生物のあいだ」講談社現代新書(2007年5月)
- 作者: 福岡伸一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/05/18
- メディア: 新書
- 購入: 56人 クリック: 1,462回
- この商品を含むブログ (1107件) を見る
自分が触れたことの無い「分子生物学」の本。
その、一見自分には関係ないような、気にしなくてもよいような分野から、他の分野における事象との
共通点が見出せたとき、この宇宙全体に共通法則があるということに気づかされる。
得てして自分が触れたことの無い分野(あまり知らなかった分野)において発見したことの方が、
自分への衝撃は大きい。
ゲノム・プロジェクトでその設計図は解読されたけれども、生命という神秘のなぞは
まだまだ尽きることがない。
著者が長年、分子生物学の研究を行って初めて見えた真実、それは、
「生命は機械ではない」
ということ。
人間を例にとっても、人体を構成する「兆」という単位をはるかに超える細胞、それぞれが
常に高速で入れ替わっている。
こんな仕組み、到底機械では実現できない。
この本を読み終え、中学生のとき学校の視聴覚室で見た、不思議な映像(当時はレーザーディスク
だった)を思い出す。
映像は、地球上のごく普通の視点からスタートする。
その視点の高さはどんどん上がり、やがて自分がいる市、県、国を俯瞰するほどの高さになる。
さらにどんどん高くなり、地球がすべて俯瞰できる高さになる。
さらには太陽系が、銀河系が、といった形で俯瞰していくのである。
この映像は、ある宇宙を俯瞰した後に、今度は逆戻りしていく。
銀河系、太陽系、地球、日本、県、市、
ついに視点は地球上で生活する人間の目線まで落ちる。
そこから、こんどはその視点がある一人の人間の体内に入っていく。
臓器が見え、細胞が見え、分子が見え、原子が見え・・・
その映像にワクワクさせられ、何ともいえない興奮が体を包んだことを覚えている。
そう、分子生物学は自分が完全に触れたことの無い世界では無かった。
以前触れたことがあったのに、興味を強くもったのに、忘れてしまっていたのである。
★↓ランキングに参加中。ワンクリックするだけで投票になりますので1日1回クリックをお願いします。