福岡伸一「生物と無生物のあいだ」講談社現代新書(2007年5月)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)


自分が触れたことの無い「分子生物学」の本。
 
その、一見自分には関係ないような、気にしなくてもよいような分野から、他の分野における事象との
共通点が見出せたとき、この宇宙全体に共通法則があるということに気づかされる。
得てして自分が触れたことの無い分野(あまり知らなかった分野)において発見したことの方が、
自分への衝撃は大きい。
 
ゲノム・プロジェクトでその設計図は解読されたけれども、生命という神秘のなぞは
まだまだ尽きることがない。
 
著者が長年、分子生物学の研究を行って初めて見えた真実、それは、
「生命は機械ではない」
ということ。
 
人間を例にとっても、人体を構成する「兆」という単位をはるかに超える細胞、それぞれが
常に高速で入れ替わっている。
こんな仕組み、到底機械では実現できない。
 
この本を読み終え、中学生のとき学校の視聴覚室で見た、不思議な映像(当時はレーザーディスク
だった)を思い出す。
 
映像は、地球上のごく普通の視点からスタートする。
その視点の高さはどんどん上がり、やがて自分がいる市、県、国を俯瞰するほどの高さになる。
さらにどんどん高くなり、地球がすべて俯瞰できる高さになる。
さらには太陽系が、銀河系が、といった形で俯瞰していくのである。
 
この映像は、ある宇宙を俯瞰した後に、今度は逆戻りしていく。
 
銀河系、太陽系、地球、日本、県、市、
ついに視点は地球上で生活する人間の目線まで落ちる。
 
そこから、こんどはその視点がある一人の人間の体内に入っていく。
臓器が見え、細胞が見え、分子が見え、原子が見え・・・
 
その映像にワクワクさせられ、何ともいえない興奮が体を包んだことを覚えている。
 
そう、分子生物学は自分が完全に触れたことの無い世界では無かった。
以前触れたことがあったのに、興味を強くもったのに、忘れてしまっていたのである。
 
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