伝統文化推進会「ズバリ図解 日本の伝統としきたり」ぶんか社文庫(2007年6月)
- 作者: 伝統文化推進会
- 出版社/メーカー: ぶんか社
- 発売日: 2007/06
- メディア: 文庫
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私たち日本人が当たり前のように考えている行事やしきたりは、意外なほど日本人の中に脈々と流れる
日本人の精神、宗教観、歴史観に基づいている。
たとえば「初日の出」。
初日の出を拝むのは、年の始まりの太陽と共に新年の神様、「年神様」が降臨し幸せをもたらすと
考えられていたため。
「盆踊り」とは、お盆期間中に祖先の霊を供養するために踊ること。
「衣替え」の起源は、平安時代の宮中で4月1日と10月1日に、裏地のある「袷(あわせ)」と、
裏地のない「単衣(ひとえ)」とを交互に替えた風習にある。
「ひなまつり」の起源は、古代中国の「上巳節(じょうしせつ)」という儀式にある。3月の
最初の巳の日に水辺で穢れを落としたことが日本に伝わり、平安時代の女の子の人形遊び
「ひいな遊び」と合わさって「ひなまつり」と呼ばれるようになった。
「初詣」とは、かつては一家の主人が大晦日の日暮れから氏神の祀ってある神社へこもり、
新年を迎える「年籠り(としごもり)」と呼ばれる習わしのことだった。
「七福神」のうち、大黒天、毘沙門天、弁才天はインドから。
布袋、寿老人、福禄寿は中国から。
日本生まれは恵比寿様だけ。
日本人なら誰しもが参加したことがあるお祭り。
そのイベントのひとつである「神輿(みこし)」は、氏神様を乗せて氏子の住んでいる地域を
巡回することで、人々は神社へ行かなくても神が拝める、という意味合いがある。
「お年玉」の起源は、丸い石。お年玉の「タマ」霊(たましい)で「タマシイ」の意味。
古代の日本では、年神様に白い石を供え、これに神霊がのりうつると考えられていた。
やがて石を配る習慣ができ、今のお年玉につながっている。
以上からも容易に分かるとおり、「自分は無宗教だ」と思っている日本人はとても多いだろうが、
今でも少なからずわれわれの中には神道と仏教という二つの信仰の血が脈々と流れているのである。
また、インドや中国などからの影響も強く受け、今のわれわれの文化が作り上げられている、
すなわち、他の文化に影響されない文化はないということも、あらためて認識できるのだ。
結構地味な本なのだけれど、私にとっては目からウロコの大傑作。