結局はいつも同じ場所に帰ってくる

いつのまにか「新しいことをやり続ける」というのが座右の銘になっているのだけれども、
気づけば、同じ飲み物、同じ場所、同じ散歩コースを望んでいるのも確か。
人というのは、新しいものを求める反面、同じことを繰り返し安定したいとも欲する。
 
これは、人間であれば誰しも少なからず持っている気持ちであろう。
 
刺激と安らぎ。
新しいことと、当たり前のこと。
朝のすがすがしさと夕焼けの暖かさ。
緊張と安堵。
 
人は誰しも、両面を求める。
 
特に自分は、かなりの贅沢人間なのではないかと思う。
両面を追求し過ぎる嫌いがある。
でも、両面を徹底的に追求することが、人生を豊かにすることだと信じている。
 
考えてみれば、人生というのは結局、その両面を行ったりきたりしているだけなのではないか。
でも、そのいったりきたりを繰り返すことで、その幅がだんだん広くなっていく、
それを楽しむこともできる、でも、時にむなしさを感じることもある、この複雑な感傷。
  
ふとすると、次の瞬間、贅沢なように感じていたのに、急にそれがオリの中での
出来事のように窮屈に感じ、不満を覚え、いつしか不安になる。
とんでもなく絶対的なものに、囚われている感覚。
悪魔が大群をなして襲ってくる瞬間。
 
いったい何が真理で、どれが本当の自分なのか。
 
そう考えているうちに、結局、また自分はさっきの場所に戻っている。
夜、家に帰って眠りにつくように、戻っている。
 
音楽という世界の中で、あれだけ自由に羽ばたく音達が、オクターヴという8度音階の中に
縛り付けられているように・・・。