茂木健一郎「生きて死ぬ私」筑摩書房

生きて死ぬ私 (ちくま文庫)

生きて死ぬ私 (ちくま文庫)


茂木先生は脳科学者という肩書きであるが、実際はその域を大きく超えてかなり広い視点から
科学、哲学、宗教など縦横無尽に語ることができる貴重な存在である。
このような方こそ私が理想とし、また、まさに現代が必要としている人なのではと思う。
 
そんな茂木先生の本。
今回も例外なく、没頭して読了。
本作品はどちらかというと哲学寄り、といった感じで特に刺激を受けた。
また、宗教観に関するコラムは的確に鋭く分析されており、私自身として学びたいことがまたひとつ
増えたと思った。
 
この本を読んで、いろいろなことを考えた。
 
都会で日々の生活を行っていて、傍目には幸せそうで仕事もできるように見える人たちが、
実はどんよりとし、漠然とした疲労感、虚無感に満ちている。
他人からは健康に見えるかもしれないが、いつ、ストレスで胃痛や耳鳴りやうつを起こしても
おかしくないくらい、また実際にそのような異変が起きてしまっている人は非常に多い。
 
現在、特に日本の東京では、こんな方たちが異常に増えているようだ。
この本で茂木先生が触れていることというのは、そのような「何か大切なもの」を置いてきてしまった、
と感じている現代人が必要としているもの、そのものであるような気がする。
 
そのような方たちに、是非、新しい扉を開いてもらいたい。
きっと、茂木先生もそう思っている。
私が目指すところもそこだと考えている。
私が今まで知り得た哲学、思考法、やり方(弁証法)などで、一人でも多くの人たちの扉を
開けてあげたいのである。
 
日々、もう少しだけ広い視野から見てみよう、という努力を繰り返す。
一方で、徹底的に狭い視野でものごとを追求してみる。
ものごとは常に相対的で、それを良くも悪くも捉えることができてしまうから、
一層のこと、それを両面から徹底的に考えてみる。
ここで必要なのは、自分の頭で論理的に考えること。
自分が納得できないことは、受け入れてはならない。
しかしながら、自分が納得できないことをただ拒絶するのではなく、自分が論理的でないから
納得できていない、という可能性を常に持ちつつ思考して判断することが求められる。
 
ここまでやって、その上で、現在の自分にとってベストの選択をしていけば良い。
この努力を一日一日、極端に言えば一秒一秒で繰り返していけば、気づいた時には
確固とした「自分」が見て取れるはずである。
 
そうなれば、自分を取り囲む環境と、自分自身をより客観的に見ることができる。
また、同時により主観的に見ることができる。つまり、視野が広がっているのである。
ここまえたどり着けば、自分に不幸にも降りかかっていると思っていた、
その呪縛から開放されることができ、まったく逆の幸せに満ちた世界へ入ることができる。
 
私の説明は分かりづらいだろうから(何を言ってるか分からないだろうから??)、
この本を是非読んでみていただきたい。