岩瀬大輔「ハーバードMBA留学記」日経BP社

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて


私と同じ年に、同じ埼玉県で生まれた岩瀬さんがブログに綴ったHarvard
Business School(HBS)留学記。
ブログを見たことは無かったが、この本を読んでビシビシ感じるものが多々あった。
こんな生き方があるんだなぁ。私と同い年なのに、私の数倍(いや数十倍)
経験をして、刺激を受け、考え、悩み、努力して、人生を楽しんでいるとは。
以前から多少興味があるMBAに関してというよりも、もっと大きな視点から
いろんなことを考えさせられた一冊であった。
印象に残った箇所は多くあるが、いくつか抜粋を。
 

<P.21、HBS友人ラストーさんの言葉>
僕にとってPrincipleは、胸や背中の筋肉のようなものだ。小さなことで少しでも、
自分の信念を曲げてしまったら、どんどんその筋肉は弱くなっていく。
逆に、自分の信念を守ることで、自分が少しずつ、少しずつ強くなっていくことができる。
ある日突然、大きな問題に直面してはじめて、自分の価値基準ができあがるものではない。
もっと小さな、些細な問題を自分がどう判断するか、その積み重ねで、自分のPrincipleが形成されていくものだ。

私自身、基本的には「変化を積極的に取り入れよう」という姿勢がモットーなのだが、
だからこそ、最も根幹の背骨部分のPrincipleは守り続けねばならないのだと強く意識することができた。
 

<P.39-40、Cuneo氏による再生のための経営者としての鉄則集>
岩瀬さんは「リーダーとして一般的に当てはまる非常に大切な事柄」と書いている。
①最初の1分から、周りにポジティブなエネルギーを醸成せよ。
②人間らしく、正直であれ。人々には、本当に思っていることを伝えよ。
③常にコミュニケートし続けよ。そして、言動を一致させよ。
④聴け、たとえ自分が答えを知っているときでも。
⑤すべての偏見を避けよ。(「それはすでにやってみたが、うまくいかないんだ」は信じるな)。
⑥専制的になったり、尊大になるな。近づきやすい存在であれ。
⑦過去の問題に時間を費やしすぎるな(それはネガティブなエネルギーしか醸成しない)。
⑧「これは見たことがある」と絶対に思うな。これこそが、リーダーシップが失敗するもっとも大きな理由である。
⑨数人でいいので、真実を語る人を見つけよ。たとえ、それが自分にとって耳痛い言葉でも。
⑩常にトップクラスの人材を雇え。絶対に妥協するな。

個人的には、①④⑨あたりが重要事項ベスト3かな。
 

<P.73-74、岩瀬さんがボストンで楽天の三木谷さんと会ったときに感銘を受け思ったこと>
①誰に対しても誠実に+自然体で。
②まずはやってみろ!実行力。
③ロジカルかつ戦略的に。
④自分に厳しく。
⑤スマートに洗練され。
⑥戦い方はオーソドックスに。

岩瀬さんは、「超人のような人が、超幸運で達成したというのではなく、オーソドックスに
やるべきことを努力しながらやってきた結果が、今の楽天だと理解できたこと」が
特に良かったと書いている。
詳細説明は割愛したので分りづらいが、後でまた読み返したい箇所だから書いておく。
 

<P.284-285、アメリカでよく使われる「ワーク・ライフ・バランス」という言葉について>
いかにしてプロフェッショナルな生活を充実させつつ、豊かな「私」の生活を実現させるか。
こちら(アメリカ)では、家庭を大切にできていない、あるいはプライベートの生活がないような人は、
どれだけ仕事で成功していても尊敬されず、むしろある種の哀れみの目で見られることになる。

多くの日本人ビジネスパーソンには耳が痛いね。
 

<P.303、岩瀬さんのご自身の言葉>
「僕はなぜだか、高校くらいのときから、その時々のはかなさという感覚に非常に敏感で、いつも、
この時間は過ぎ去ってしまったらもう来ない、この瞬間、瞬間を大切にしなければ、そう意識してきた。
年をとることに、残された人生が短くなってしまうことへの恐怖に似た気持ち、と言ってもいいのかもしれない。」

どこまで、またいつまで、この感覚を「敏感」にしておくことができるか、が人生を豊かにする
最重要「スキル」のひとつなのかもね。
 
最後に(P.326-327)あとがきで両親や奥さんなどに感謝の意を表しているのだけれども、
かっこいいなぁ。こんな「あとがき」を書くために、将来、本を書いてみたいな。(不純?)
 
もっともっとこの瞬間を敏感に感じ、もっともっと真剣に一秒一秒を生きよう。
そして新しいことを求め続け、常にチャレンジしていこう。
世界には楽しいことが無限にあるぜ!