中埜肇「ヘーゲル〜理性と現実」中公新書

ヘーゲル―理性と現実 (1968年) (中公新書)

ヘーゲル―理性と現実 (1968年) (中公新書)


久しぶりに哲学にどっぷり漬かりたいと考え読み始めたが、
フランス革命、ナポレオンによる征服など、激動の歴史に
翻弄されながらどのような人生をヘーゲルが歩んで来たかが
中心に描かれていた。
終盤はその思想について本当に「概要」レベルでまとめられて
いるが、高校・大学時代に読んだ本の内容とほぼ同じだった。
やはり原文の読まねばならないか。
精神現象学」の読破は並大抵のことではなさそうだから、
老後の楽しみとしてとっておくこととして、まずは
歴史哲学講義」を読んでみようと思う。
対立物の相互浸透や否定の否定によるアウフヘーベン止揚
については非常にわかりやすく引き込まれるのだが、やはり
最後の最後で神が出てくるのはどうしてもわからない。
そこを除けば素晴らしい。真理は常に変化するということも
非常に興味深い。
ヘーゲル全体論とは正反対に位置づけられるキルケゴール
有神論的実存主義は大学時代に傾倒したが、今考えれば
ヘーゲルキルケゴールニーチェサルトルも)、物事の
裏返しでどちらも正しいような気がする。
これらの大きな考え方の違いさえも、相互浸透し止揚される
ような気がする。少なくとも自分の思想の中では、二十歳代
を通じて止揚されたと考えている。
マルクスの唯物史観について、その想像を絶する思想と研究の
蓄積はおそらく素晴らしいものに違いない。三十歳代での
資本論読破は難しいかもしれないが、せめて六十歳までには
達成したいものである。
↓ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル