Haruki Murakami「Kafuka on the shore」(2005年)★★★★☆

Kafka on the Shore (Vintage International)

Kafka on the Shore (Vintage International)


初めて英語の小説を読了。

読もうと思ったきっかけは、そもそも小説というもの、特に村上春樹の長編のような独特の空気感を醸成していくタイプの小説が他の言語に翻訳されたときにどのように表現されるのか、あるいはそもそも表現などできないのか、という素朴な疑問があったことである。

英語力もあまりないし結論を言語化すること自体なかなか難しい作業なのだけれど、すごく簡単に言ってしまうと英語版でも独特の空気感がある程度伝わってくる、ということ。特に長編の場合はじっくりと時間をかけて全体的な空気感を醸成できるから、話の流れで徐々に空気感が醸成されてくるのだろう。

ただ、日本語の微妙で巧みな空気感そのものはもちろん表現されない。だから同じ小説なのに少し印象が異なる箇所があったし、村上春樹の小説の魅力のうち1/3くらいが無くなってしまったような感じがある。

これは英語力が不足していることにも起因していると思うけど、それを差し引いても明らかに日本語だから表現できること、日本語だから醸成できる独特の空気というものが必ずあるという、まあ考えてみれば当たり前のことなのだけれども、それを肌身で感じることができたというのが収穫である。

水村美苗さんの「日本語が亡びるとき」の中に、日本語で小説を書くことと英語の世紀に関する素晴らしい記述があるので、ちょっと興味を持った方は是非読んでみて欲しい。そうだ、もう一回「日本語が亡びるとき」を読んでみようっと。

あー、それにしても英語の小説読むのに1年以上かかった。
英語の本は、睡眠薬と同じくらい良く効くということを知れたのも大きな発見。

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