日本における製造業の没落

「最近、ブログが写真ばかりになっているけど、怠けてない?」との指摘が多いため頑張ってコラムを書きます。
 
3/2付のGigagineで、日本のパソコン事業が買収される可能性があるとの記事があった。
 「Acerによるノートパソコンメーカー買収、ターゲットは富士通か - Gigagine」
 
台湾のAcerが富士通のPC事業買収に意欲的、台湾ASUSTeKが東芝とPC事業買収の交渉中とのこと。この流れは分かっていたし、日本企業のPC事業売却検討は時間の問題だと思っていたけれども、あらためてこのような報道があり少なからず衝撃を受けた。コンピュータ業界のグローバル化の流れを体感してきた私ですらこうなのであるから、業界にかかわっていない人たちは相当な驚きをもってこのニュースを受け止めただろう。(グローバル化に鈍感で、このニュースの意味を理解できていない人が実際には多いのかも知れないが)
 
日本のコンピュータ各社は、グローバル化の波に翻弄されてきた。メーカーによって若干時期は異なるものの、日本企業のPC事業におけるグローバル化の概略は以下のとおりと思われる。(推測含む)

  • 1999年前後:日本でのPC生産縮小、台湾大手OEMや大手EMSへ生産委託
  • 2003年前後:日本でのPC開発縮小、台湾大手ODMへ開発委託
  • 2010年  :PC事業の売却検討か

 
以前はミッドレンジ〜ハイエンドマシンとして高付加価値製品であったサーバも同じような道を辿っている。

  • 2003年前後:日本でのサーバ生産縮小、台湾OEMや大手EMSへ生産委託
  • 2006年前後:日本でのサーバ開発縮小、台湾ODMへ開発委託
  • (2011年頃:サーバ事業の売却検討?)

 
ちなみに私は1999年入社以降、このサーバのグローバル化の流れに乗る形で異動した。まさしくこの流れを体感してきたのである。そのおかげで加速度的に進むグローバル化のすごさと恐さを知った。それと同時に、日本の電機業界の没落についても考えるようになった。

  • 1999〜2001:サーバ生産工場(日本メーカー)の担当
  • 2002〜2004:サーバ開発拠点(日本メーカー)の担当
  • 2005〜2007:サーバ開発(台湾ODM)の担当…台湾駐在

 
一方、2/27付の日本経済新聞には、工作機械生産額で日本が27年ぶりに首位を譲り3位に転落したとの記事があった。
 「工作機械生産額、日本27年ぶり首位転落 09年、トップ中国の半分 - 日本経済新聞」
 
この記事によると、ずっと1位をキープしてきた日本は2009年に中国だけでなくドイツにも抜かれ3位に。中国との差は2倍近くとのこと。中国製の工作機械はコストが安いことに加え、劣っていた機能面を改善してきているという。また、中国に進出した日本企業がコストを抑えるために中国メーカー製の工作機械を購入することも増えてきたとのことである。
工作機械業界について詳しいわけではないので、日本は当然世界1位でありしかもダントツであると勝手に思い込んでいた。さらには中国の工作機械生産額が2006年以降急激に上昇していることを知らなかった。知らないということは恐ろしいことである。
 
さらに、今年は日本の大手ロボットメーカーが中国生産に一気に踏み切る。通信機器では中国の華為や韓国のサムスンが急速に台頭している。生産面で日本の空洞化はますます進むが、この影響による雇用減を埋められる需要は日本にはない。
 
戦後の日本経済を大黒柱として支えてきた電機、機械といった製造業。
その没落は加速度的に進行しているのである。
 
Crisis has come for non-global people.
Chances have come for global people.
 
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