小笹芳央「モチベーション・カンパニー」日本能率協会(2002年2月)★★★☆☆

(P.14)
外部環境の悪化に目を奪われ、組織内部で進行している非常事態の到来を察知している企業は少ない。(中略)新卒社員が、入社後3年以内に30%も辞めている。(中略)さらに深刻なのは、社内で期待されている人材、評価の高い人材までが、会社に見切りをつけて流出し始めていることである。

(P.18)
顧客が求めるニーズも多様化、複雑化、高度化し、商品のライフサイクルは加速度的に短くなっている。(中略)最終的には、従業員が臨機応変に市場や顧客の変化に対応できるかどうかが、企業の再生や成長の鍵を握っているといっても過言ではない。(中略)従業員のワークモチベーションを刺激し、競争力を高めることができるかというテーマに行き着くのである。

(P.66)
モチべーションクライシスの根幹は、「貢献活動に見合う報酬」を提供できていないことが根本原因となっている。

(P.71)
従業員から貢献活動を引き出すには一定の報酬が必要→しかしその報酬の原資は不足している→知恵を使って、お金やポストの代わりに提供できる報酬をつくりだそうという発想の企業だけが、今後生き残ることができるのである。(中略)今、企業に求められるのは「新しい報酬」の自家発電である。

(P.75)
人間は誰しも、「楽しく仕事がしたい」、「自分の仕事を認めてもらいたい」、「誰かに期待されたい」、「意味を感じられる仕事をしたい」、「尊敬できる人と一緒に仕事がしたい」という根源的な欲求を持っている。これらの根源的欲求は、金銭報酬や地位報酬とは別の次元で存在する。

(P.79)
個人の力を最大化し、組織として有機的に機能させるためには、「人」個人ではなく、個人を結ぶ「間」(=関係性)に注目することが重要である。多くの組織上のトラブルや障害は誰か特定の「人」に問題があるということよりも「間」に問題があることの方が圧倒的に多い。(中略)問題は「人」ではなく「間」にある。

(P.85)
「管理者が不足している」と嘆いている成長途上の企業が多いが、この場合も「課長」や「部長」が不足しているのではなく、コミュニケーションの結節点を担う「機能」が不足しているのである。(中略)このように考えると、コミュニケーションの結節点たる管理者には新しい報酬をつくりだす主体、「モチベーションクリエーター」の役割を要請することになる。

(P.92)
「報酬原資の不足」、「就労意識の変化」、そして「人材流動化による企業と従業員の関係変化」。これらの変化は、報酬の意味を変えてしまうインパクトがある。(中略)従業員のモチベーションをマーケティングするという発想を持つということである。(中略)しかし、ここで重要なのは、「報酬の魅力度合いを決めるのは、それを受け取る側の従業員である」という視点である。

 
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