森有正「生きることと考えること」講談社現代新書(1970年)★★☆☆☆

生きることと考えること (講談社現代新書 240)

生きることと考えること (講談社現代新書 240)

  • 人は自分が徹底的に解体するところまでいっても、結局自分に帰ってくるほかには道はありません。でかければ必ず帰ってくるのです。(中略)自分を越えた、他のものを探求していっても、結果としては、それは自分自身の探求になるわけです。(中略)何かに出会いに私は出かけている。自分のところにいたら何に出会うこともできないから、旅に出るだけの話です。なにかいいものがあったら、必ずこっちから捜しにいかなくてはいけない。待っていたら何もこないと思うのです。それで私は旅に出かける。ですから旅行するけど、その旅行など、あってもなくてもどうでもいいのです。その旅行に出ているということが私の存在そのものなのですから。そして私は、現実にも旅行をいろいろやりますけれども、そういう旅行では何にも出会わないということも、私はよく知っているのです。ですから旅行しながら、飛行機の中から、汽車の窓からみながら、あるいは道を歩きながら、自分の心の中を眺めているのです。
  • 離れていく動きそのものが、そこへ帰ってくる働きの一部なのです。つまり楕円を描いて飛んでいく物体が、描き終わってもとへ返ってくるように、もとへ返ってくる。遠くへ行くのは、自分のところへ帰ってくる道程の一部なのです。そして一たん遠ざからなかったら自分のところに帰ってこられない。

 
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