梅田望夫・飯吉透「ウェブで学ぶ オープンエデュケーションと知の革命」ちくま新書(2010年9月)★★★★☆
ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)
- 作者: 梅田望夫,飯吉透
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/09/08
- メディア: 新書
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梅田さんの本を読むと、いつも新しい世界が手に入る。個別の知識や情報がたくさん盛り込まれており有益であるというレベルではなく、自分がそれまで知らなかったとんでもなく大きな世界を丸ごと目の前に提示されるのである。都度衝撃を受け、世界が爆発的に拡張する。
この本も自分に、大きなそして新たな世界をもたらした。特に印象に残ったのは2点。
1点目は「オープンエデュケーション」のとんでもない可能性。
個人レベルの話として、私は、時間概念を主観的かつ客観的に徹底して考え抜き人生をいかに主体的に生きるか、いかに多様な経験をし多様なクオリアを体感し多様な分野の知識を得るか、仕事・遊び・勉強という境界を設けずあらゆるプロセスを楽しむことができるか、自分がいかに知らないかということをより知ることができるか、世界はいかに広くいかに多様であるかをより知ることができるか、をいつも考えて行動するように心がけている。創造性を強化し日々を楽しむためには自分を変革し続けるのが一番だと思っているし、そのためにもっとも重要な要素は多様性だと考えている。
一方世界レベルでは、ウェブ上ではブログ・ツイッター・フェイスブックなど様々なウェブサービスを通じて、また実社会ではグローバル化の進展に伴うヒト・モノ・カネの移動量の劇的な増加などを通じて、この「多様性を謳歌する」という壮大な実験が進んでいる。このことだけでも驚愕に値することでありその可能性は無限であるけれども、今回の本で梅田さんと飯吉さんが提示してくれた「オープンエデュケーション」とは、人類の叡智そのものである「教育」やそのコンテンツ、さらにはナリッジまでもが全地球的に共有されるということ。この試みが臨界点を超えた時、全人類の多様性が様々な形でミックスされ止揚されて限りない創造が生まれるはずである。その衝撃度たるや想像すらできない。
2点目は英語の重要性。
これまでも英語の重要性についてはいろいろと考えてきたつもりであったが、「オープンエデュケーション」の時代が本格的に到来すれば、英語の重要性はどう考えても今までとは比にならないほど高まる。英語ができなければ、クリックするだけで目の前に広がる無限の情報に手が届かないことになる。当然、日本語のコンテンツも大幅に拡充されていくはずだけれども、英語のコンテンツに触れられないという情報格差は、これからの時代を歩むうえで致命的になるだろう。
日本や日本人が抱える、英語に対する大きな壁。今ならばまだギリギリ間に合うかもしれない。オープンエデュケーションの進行が臨界点を超えた時、取り返しがつかない事態になる。それはあらゆる人々に影響を与えることになるのである。(この点については「日本語が亡びるとき」をあらためて読んで考えてみたい)
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