黒川雅之「八つの日本の美意識」講談社(2006年7月)★★★★☆

八つの日本の美意識

八つの日本の美意識


日本人が持つ美意識を見事に言語化した貴重な本。

微、並、気、間、秘、素、仮、破という8つのキーワード

  • 微:小さいものの中に全体性をみようとする、ミクロなところから発想していく。今という一瞬に、過去も未来も含まれている。細部にすべてが含まれる。
  • 並:「微細なるものの並列集合」。直列的な組織でなく、対等に集合。八百万の神、三種類の文字、神仏併合。西洋の罪の意識ではなく恥の意識。
  • 気:人自体や物自体だけでなく「その周辺の空気をふくんで人であり物だ」と理解。「気」という漢字を使った言葉が非常に多い。「色香」というもの。
  • 間:「気」があるから「間」が生まれる。「全体」という概念をもたず、小さな部分の間合いとして「間」が見えてくる。影のような存在。
  • 秘:すべてを表現しないことで受け手の想像力を駆り立てる。受け手が表現者の創造に参加する。わからないことを感じる美しさ。
  • 素:そのままが一番美しい。「そのままがいい」とは決して変わらないということでなく、変わりゆくことを楽しみ、生活の喜びとすること。
  • 仮:「大河の流れに流されるもよし、逆らうもよし」。自然の流れに身を任せていることさえも、実は積極的な生き方。朽ちることも死ぬことも美しいこと。
  • 破:最も破壊的な瞬間に、最も生命的なことが起こる。「序破急」「守破離」。すべての美意識がある種の破綻と背中合わせ。常に死と隣り合わせの概念。

日本の美意識とは

  1. 逆説的である
  2. 身体感覚が支配的である
  3. デモクラティックである
  4. 自分も自然の一部と信じている
  5. アナーキズムである
  6. 女性型の秩序感である
  7. 美のために生きている

 
★↓ランキングに参加中。ワンクリックするだけで投票になりますので1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ