黒川雅之「八つの日本の美意識」講談社(2006年7月)★★★★☆
- 作者: 黒川雅之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/07/22
- メディア: 単行本
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日本人が持つ美意識を見事に言語化した貴重な本。
微、並、気、間、秘、素、仮、破という8つのキーワード
- 微:小さいものの中に全体性をみようとする、ミクロなところから発想していく。今という一瞬に、過去も未来も含まれている。細部にすべてが含まれる。
- 並:「微細なるものの並列集合」。直列的な組織でなく、対等に集合。八百万の神、三種類の文字、神仏併合。西洋の罪の意識ではなく恥の意識。
- 気:人自体や物自体だけでなく「その周辺の空気をふくんで人であり物だ」と理解。「気」という漢字を使った言葉が非常に多い。「色香」というもの。
- 間:「気」があるから「間」が生まれる。「全体」という概念をもたず、小さな部分の間合いとして「間」が見えてくる。影のような存在。
- 秘:すべてを表現しないことで受け手の想像力を駆り立てる。受け手が表現者の創造に参加する。わからないことを感じる美しさ。
- 素:そのままが一番美しい。「そのままがいい」とは決して変わらないということでなく、変わりゆくことを楽しみ、生活の喜びとすること。
- 仮:「大河の流れに流されるもよし、逆らうもよし」。自然の流れに身を任せていることさえも、実は積極的な生き方。朽ちることも死ぬことも美しいこと。
- 破:最も破壊的な瞬間に、最も生命的なことが起こる。「序破急」「守破離」。すべての美意識がある種の破綻と背中合わせ。常に死と隣り合わせの概念。
日本の美意識とは
- 逆説的である
- 身体感覚が支配的である
- デモクラティックである
- 自分も自然の一部と信じている
- アナーキズムである
- 女性型の秩序感である
- 美のために生きている