内田樹「街場のアメリカ論」NTT出版(2005年10月)★★★★☆
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2005/10/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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アメリカに関することのみではなく、様々な事象の本質を突く内田さんらしい本。
- アメリカが東アジア政局にコミットできるのは、日中韓三国(これに台湾、北朝鮮を加えて5国)の間に不協和音が響いている限りのことである。戦争にならない程度のフリクションがこの5国を互いに遠ざけており、トラブルがあるたびに「アメリカに中に入ってもらう」というかたちで調停役としての関与が要請されるというのがアメリカの望むベストの外交ポジションである。
- 「原因とはうまくゆかないものにしかない」。これはジャック・ラカンの至言です。「原因」というのは、「原因がわからないとき」にだけ人間の脳裏に浮かぶ概念なんです。
- すべての人間は生まれながらにして罪人であるとするキリスト教の原罪思想はとくに清教徒においては強いものでしたから、子供は生まれながらに「純真」であるとか「無垢」であるという子供観はここには入る余地はありませんでした。むしろ子供を殴って肉体から悪を追い払うことは、宗教的に容認どころか推奨されていたのです。