野中広務・辛淑玉「差別と日本人」角川ONEテーマ21(2009年6月)★★★☆☆

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)


普段、深く考えることがない日本の「差別」ということについて深く考えさせられた衝撃的な本。
 
過去に日本人がどれほど惨い差別を行ってきたかということ、現在もそれらは決してなくなった
わけではないということ、日本人は無意識的にムラ社会の考え方と差別の気持ちを秘めていると
いうことを知ることができた。

(P.70)
まず、差別をするという実態が先にあり、それから「部落民」が作られ、「被差別部落」という空間が形成される。逆ではないのだ。差別する側があいつは「部落民」だと決めれば、そこから差別が始まる。要するに、関係性の問題なのだ。
自分は他者より優位だという感覚は「享楽」そのものであり、一度その享楽を味わうと、何度でも繰り返したくなる。特に人は、自分より強い者から存在価値を否定されたり、劣等感をもたらされたりしたとき、自己の劣等意識を払拭するために、より差別を受けやすい人々を差別することで傷ついた心のバランスをとろうとする。

 
*この本を読んでいて思ったのは、差別について考えるということは、いま興味をもって勉強中の
 「モラル・ハラスメント」の問題を考える際にも直接的に有効であるということである。
 
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