大津秀一「死ぬときに後悔すること25」致知出版社(2009年5月)★★☆☆☆

死ぬときに後悔すること25

死ぬときに後悔すること25


私と同い年の著者が、多くの人を看取ってきたその経験を元に執筆した本。
 

(P.5)
何百例も症例が集積すると、ひょっとすると皆が抱えている後悔、人生で解き残す問題は、実はそれほど多様性がないのではないかということがわかってきた。要するに、人が後悔する内容は人類皆兄弟、だいたい決まっているのである。

たしかに、人は、うまれた直後と死ぬ直前、個々の多様性は最小化するのかもしれない。
普段考えないことを考えさせられた箇所である。
 

(P.6)
実際、いまわの際に「先生、私はもう思い残すことはないですよ」、そう胸を張った数少ない患者さんたちは、世間一般よりずっと早くから、後悔を残さないように「準備」をしてきたように思えた。彼らの生き方は、いつ死んでも後悔が少ないような、問題を後に残さない生き方である。

問題を後に残さない生き方。
本書の中盤で取り上げられているとおり、問題だけでなく、やりたいこと、やるべきことを
後に残さず今やることが必要なのだろう。
 

(P.24)
年に1回の「ちゃんとした人間ドック」の受診をおすすめしたい。通り一遍の健康診断に近い人間ドックでは意味がない。やはり主要臓器をカバーしていることと、PETという体の広い範囲をスクリーニングできる検査を含んでいることなどが望ましいと考えられる。
(P.25)
まったくの無症状のうち、つまり健康だと自分が確信している時期から、きちんとそれを行っておくのが大事なのである。
(P.27)
はっきり言って、最初にお金を使うのかそうでないかだけの違いである。

本書で印象的だったのが、25の「後悔すること」のひとつ目が、「健康を大切にしなかったこと」で
あったことである。
普段から、「健康は最大のリスク」だと考えていたが、あらためて思い知らされた。
人間ドックはぜひ毎年受けておこう。
 

(P.140)
人は終わりまで他者を求める。
(P.141)
会いたい人には今すぐ会いに行ったほうが良い。

自分だけでなく、相手もこの世からいなくなってしまう可能性がある。
だから、すぐ会いに行かなければならないということである。
 

(P.180)
人生の総括は早めにしておくほうがいい。

(人間ドックの話とこの一文は)本書を読んだ一番大きな収穫。
 

(P.197)
(スピリチュアルケアの村田理論とは)スピリチュアルペイン、すなわち生きている意味を見出し得ず、魂の痛みを感じる状態に陥るのは、死を超えた将来の確信(時間存在)と信頼できる家族・友・医療者等の存在(関係存在)、及び自己決定できる自由(自律存在)の三つのうち、一つ以上の要素が揺らぐためという理論である。

死が近づくにつれ、自然と三つめの「自律存在」は失われていくから、いかに他の2つを確立、維持
するかということになる。
日本人にとって「時間存在」はピンとこないかもしれないが、だからこそ死に直面したとき、
駆け込みで宗教に頼ろうとする人が多くなるのであろう。
この「時間存在」と「関係存在」について、普段からどこまで思考し実行しているかが、死を
迎える際の自分のありように大きく関係してくると思われる。
 
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