フォーラム「多言語で広がる新しい世界〜多様性とコミュニケーション力〜」

本日は、大阪梅田で開催されたフォーラムに参加。
テーマは「多言語で広がる新しい世界〜多様性とコミュニケーション力〜」。
(主催:言語交流研究所ヒッポファミリークラブ、後援:大阪府・大阪府教育委員会)
 
フォーラムが開始されまず驚かされたのは、取組を通じて多言語を自然な形で学んでいる人たち。
流暢なドイツ語で2分ほど自己紹介した後、韓国語で話をし、次は英語を自然に使う。
その他、スペイン語、フランス語、中国語などが次々と飛び出してくる空間。
 
さらに衝撃だったのは、台湾に行ったことがない子供が台湾語で3分ほど話をしていたこと。
台湾語というと日本ではほとんど知られていない言語だけれども、久々に台湾語の響きを、
まさか日本のこのような場で日本人の子供の口から聞くことになるとは思いもしなかった。
(しかもその子供は、台湾語だけでなく他に7ヵ国語以上をある程度操ることができるし、
 この取組に参加しているメンバーは台湾語を理解できている!)
 
日本でこのような環境があることに衝撃を受けたと同時に、この取組が言語学的、脳科学的に
もっとも自然な形での言語習得プロセスを実行しているということを、自分としても
十分納得する形で理解した。
 
次に、マサチューセッツ工科大学 言語学教授のスザンヌ・フリーン教授によるメイン講演。
この教授の講演は内容的にとても面白かったし、何よりも言語に対する障壁を下げてくれた。
ポイントは以下。
 

1. Human language is unique and special human capacity.

言葉を話すことは、人間特有の能力である。
 

2. There is underlyingly only one human language.

基本的には、人間の言葉は一つしかない。
世界に存在するすべての言語における違いは、わずかなものでしかない。
(例えば、英語はS+V+Oであるのに対して日本語はS+O+V)
 

3. A child is not "taught" language.

子供は言葉を「教わる」のではない。
当初子供は生まれたとき当然言葉を理解できないが、周辺から聞こえてくる言語の
「Sound」や「Shape」をまず大まかに捉える。
まずは耳に入ってくるその音の「リズム」をつかむことからはじめ、そのリズムの
波の精度を徐々に上げていくこと、多くの言葉を聴くことによって、それぞれの
単語の意味が関係づけられ言葉が形成されていく。
 

4. Multilingualism is the natural state of the human mind.

多言語は、人間の知能(知性)の自然な状態である。
先述したとおり、言語の違いはわずかなもの。
同一言語内の方言というのは、その違いがさらに小さい形で現れたものである。
人間における多言語空間とは、特別ではなく自然なのである。
 

5. There is really no limit to the number of languages one can learn.

一人が習得できる言葉の数に限りはない。
脳は、胃などと異なり、詰め込むといっぱいになってしまう有限なものではない。
時間、エネルギー、情熱さえあればという条件付きだが、脳は無限である。
 

6. Everyone can learn a new language throughout one's lifetime and in fact doing so, will help you stay mentally young.

誰でも生涯を通じて新しい言葉を学ぶことができる。それによって心を若く保つことができる。
言語の獲得(acquisition)は、才能(Talent)ではなく能力(Capacity)である。
※Capacityをここでは「能力」と訳しましたが、「特に障害がない人間であれば、
 誰しもが先天的に持っている能力」というニュアンスでとらえてください。
 

7. The more languages you know, the easier it gets.

多くの言葉を知れば知るほど、習得するのが簡単になる。
仮に日本人が第一外国語として英語を習得すれば、その後、スペイン語など多くの欧州の
言語や中国語など、言語の並び方(S+V+O)などが同じ言語を習得するのが楽になる。
 

8. Knowing multiple languages has important positive consequences at multiple levels that last a lifetime.

複数の言葉を操れるということは、さまざまなレベルにおいて、重要でポジティブな
結果をもたらし、それは生涯にわたって続く。
多言語を操る脳が形成されると、自分のイメージを言語化したり、比喩的表現を使ったり、
他者の立場で物事を考えたり、新しいアイディアを創出するような能力が助長される。
 
このフォーラムで感じたこと、得たことは非常に大きく、この偶然(セレンディピティ?)が
とてもうれしく自分をハッピーにしてくれるような気がした。
 
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