米長邦雄「人間における勝負の研究」祥伝社黄金文庫(1982年)★★★☆☆
人間における勝負の研究―さわやかに勝ちたい人へ (ノン・ブック 203)
- 作者: 米長邦雄
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 1982/06
- メディア: 新書
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永世棋聖である米長邦雄氏の作品。
正直言って、私は将棋というものがまったくわからないが、将棋を指す人々の集中力や
論理的思考というのは、とてつもない域に達していることには気づいていた。
また、これが重要なのであるが、決してロジックだけではない人間的な「何か」が将棋の
勝敗に大きく影響しているようでもあるのである。
この本では、米長氏のプリンシプルが惜しげもなく披露されている。
将棋の話も多く出てくるのだけれども、一人の人間として、男としてのプリンシプルと
大きなつながりがあり面白い。
とてもためになる本であった。
・本当に強くなりたい、勉強をしたい、と思ったら、まず、独立心というか、孤独に耐えられる力が必要。
・とにかく自分で考えて、自分で納得するということは、自分を本当に鍛える方法。
・何ごとにせよ、まず”集中力の持続”ということが勉強の要。
・試験であれ、芸の道であれ、青春時代に合計して5〜6000時間集中的に努力を維持した者が一応認められる。
・自分にはわからないということだけはわかる。これがひじょうに大事なこと。
すべての「学ぶ」ということに共通する基礎である。
初心に戻り、今からであっても徹底したい。
・夢というのは、ものすごいスピードで見ているそうですが、カンというのもものすごいスピードで無意識のうちに読んだ結果である。
・カンというのは自分が好きで必死で取り組んでいないと働かないものである。
この一文には強く共感するとともに、あっさりとこんな一文が登場することに驚いた。
私としては、人間が過去に経験した無数の出来事が今の自分を作り上げており、そのすべての
過程を脳が内包し集積しているので、それがあるときカンとして現れると思っている。
・未知の世界への挑戦は、少々危険ではあるけれども、楽しいし、自分をより成長させる。
・危険をあえて踏み切っていくうちに、男は成長していく。
・男というのは、100点に向かって全部の力を出し切る時がなくてはダメだ。
未知の領域にこそ成長のチャンスがある。
全力を出し切るときに成長している。
この2つを忘れないようにしよう。
・だいたい、勝負というものは、勢いのあるほうが勝率が高いものである。
「勢い」というものを今まであまり真剣に考えてこなかったことに気づく。
こうして指摘されると、なるほどその通りと思う。
・男らしさとは、大局観である。人生全般、仕事その他、大局的にものが見えること。そのうえで判断のできる人。
・男らしさとは、理性と思いやりである。情と理性とはまったく相反するものではないけれど、その二つの対立があった場合には、まず自分の情を捨て、ほかの人の情と理性の両面から、納得のいく方法を選べる人。
・できるだけ貸し方のほうへ、いつも回ろうと心がける。
視野を広く、どーんと構えること。
あらゆることにおいて、他人に借りるのではなく、貸す方を多くする。
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