茂木健一郎ほか「プロフェッショナルたちの脳活用法」NHK出版(2009年4月)★★★★☆

プロフェッショナルたちの脳活用法 (生活人新書)

プロフェッショナルたちの脳活用法 (生活人新書)


NHKプロフェッショナル仕事の流儀「プロに学べ!脳活用法スペシャル」をまとめた本。
 

≪クリエイティビティ≫
・何もないところからアイデアが自然発生することは絶対にない。
・蓄積された情報が組み合わされて、それまでにはなかった形が出来上がることを、われわれは”アイデアがひらめく”と呼ぶ。
・ひらめきという脳の働きは、「意欲」と「経験」の掛け算。
・何人ものプロフェッショナルは、自分のアイデアを生み出す”場所”を持っている。移動中、寝る前、お風呂の中、街を歩いているとき、など。情報が入ってこない状況に置かれると、脳は寂しくなって、何か情報はないだろうかと必死になって探し始める。感覚遮断に近い状態でひらめきを生むには、その前に徹底的に考えて、考えて、考え抜くこと。
・寝ている間に脳の中で整理される。とことん考えてから寝る。
・寝る前に暗いことを考えるべきではない。
・偶然はそれを受け入れる準備ができた精神にのみ訪れる。
・われわれの脳の中にはあらかじめ「世界はこうなっている」という仮説が出来上がっている。いらないものは見ていない。見えているのは、欲しい情報だけと言っても過言ではない。
・人間の脳は、基本的な構造としてオープンシステム。自己のみで完結するものではなく、外界からの刺激を受けて発展を続けるメカニズム。
・まったく異なること(業界、製品など)から学ぶことがある。
・自分のまねをしない。
・現場は脳を本気にさせる。
・自分から積極的に関わろうとする思考や行動=エンゲージメント。
・トーク・スルー=とりあえずしゃべってみる。自分がやりたいことを一度アウトプットして、具体的な言葉や形になったものを自分の脳にあらためてインプットしてやる。
・”慣れることの危うさ”。習熟するな。
・誰かと会話をしている最中というのは、脳がもっとも創造的になる瞬間。相手(=条件)に応じて態度や言葉遣い(=ルート)を変えている。
・ネオフィリア=新しいものを好む性質、好奇心、童心。創造のために、自分の中の大人を捨てる。
・人間は、自己防衛機能が働く。それまで自分が生きてきた世界観と異なるものに出合ったとき、それを否定することによって、それまでの自分を守りたいという心理的な反応が起こる。
・オープンエンド。
・脳というのは未来を真剣に考えることが非常に苦手。放っておけば、目の前にある現実ばかりを追いかけようとする。
・マニュアルどおり=誰でもできること。
・われわれは、昔も今もさまざまな固定観念の中で生きている。これは、言い方を換えると、固定観念があるから生きていられるということでもある。ホメオスタシス=自分を一定の状態に保とうとする働き。
・変な常識がなく、”非常識”なので、それくらいの壁だったら乗り越えられると思える。

 

≪成長≫
・不器用だから、人よりも余分に考える。みんなが1を考えるところを、3も4も考える。だから、かえって考えが深くなっていく。そうしていつのまにか劣等感が武器になる。くせこそがその人のいちばんの魅力。
・他人との比較をやめる。他人と比較していると、他人のレベルがそのまま超えるべきハードルになってしまう。そうではなく、超えるのは「いまの自分」。
・自分に課された条件をあえてオーバーロード気味に設定する。
・悩んだときは難しい方を選ぶ。
・ふたつの道があったら困難なほうを選べ。
・フロー状態=リミッターが外れて脱抑制された状態。例)時間を忘れて好きな遊びに熱中しているときの子ども。
・「当たり前」のことをひとつひとつ極限まで積み重ねることで、「特別」な味が生まれる。
・修羅場で笑えなきゃ、プロじゃない。苦しいときでも、あえて笑う。
・口角を上げて笑った表情をつくるだけで脳は影響を受け、考え方がポジティヴになる。また、笑顔を見せることで相手の反応が変わってくる。
・「苦労」と「成功」は、切り離すことができない関係。
・失敗経験なしには、偶然の中のチャンスを、チャンスとして見ることはできない。例)ポストイット。

 

≪モチベーション≫
・やる気とは、目標を成し遂げ、達成感やお金などの報酬を得ようとする欲求。
・「あこがれの人を持つ」。ミラーニューロンを利用する。
・小さな成功体験をつくる。
・褒められるグループは何度でも作業をやろうとするが、品物が与えられるグループは、すぐに作業をやらなくなってしまう。
・「やる気がでない」という人には、自己評価が低い人が多い。
・主体性。自由というのは、人間の脳をもっとも元気にさせてくれる要因。自分で選択し、自分で決定し、自分の責任で実行する。
・日本の社会は、決められたことを忠実に守る者が評価され、人と違ったことをやれば批判や叱責を受ける。自分の欲求に従うよりも、「常識」から逸脱しないことのほうが優先される。
・やる気を持続させる力は、自分の内側からしか生まれてこない。「自発的であること」。
・新しいことに挑戦すれば、素晴らしい人やいろいろなものに出会えるかもしれない。いろいろな可能性や楽しみもきっとある。だから、まずはやってみる。新しいことへの一歩を踏み出せないのは、できないのではなくやらないだけ。
・主体性とは、自らの行動を選択して、人生の結果を左右できるという認識のこと。この感覚を持っていないと、人間は行動や結果から「学ぶ」という回路が発動しなくなり、無気力になってしまうことさえある。
・どんなに知識があっても、好きになれる人には及ばない。どんなに好きになれても、楽しめる人にはかなわない。
・どういうときがいちばん集中できているか。持ち時間がなくなってきて、せっぱつまった状態になって、初めて感覚が研ぎ澄まされていく。
・古代遺跡がつくられた時代には、コンピュータもナノテクノロジーもなかった。しかし、その時代の制約の中で、人々は最高のものをつくっていた。どんなに厳しい環境にあっても、常に最高のパフォーマンスを発揮しようとするのが、人間の脳が持っている素晴らしい本質でもある。

 

≪リーダーシップ≫
・「この人についていけば自分にとっていいことが起こる」と多くの人々に知覚させることが「リーダーの器」。
・リーダーが持つべき資質。会社の先導役としての任務を果たすこと。部下たちの生活をきちんと考えること。
・リーダーは太陽であれ。太陽は明るく、温かく、ポジティヴな存在。
・自然にしている。自分の気持ちに嘘をつかない。
・こちらが裸になって、誠実に、自分の気持ちをさらけ出す。
・何かを期待するのではなく、真剣に真白になって考えてあげる。
・弱さを冷静に受け止めることは、ある意味で強さ。
・主役だけでは壮大なドラマは作れない。

 
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