松本仁一「アフリカ・レポート 壊れる国、生きる人々」岩波新書(2008年8月)★★★★☆

アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)

アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)


非常に優れたルポタージュである。
アフリカが、これほどまでに「崩壊」しているとは思わなかった。
 
著者は、日本ではまったくといっていいほど報道されない、いわば「無視」されている
アフリカ大陸に自らのジャーナリスト人生をかけ、約30年に渡ってアフリカに関わり、
現場に足を運び、点ではなく面で継続的にアフリカを見てきている。
 
ハイパーインフレに見舞われ、失業率が80%を超え、人口の1/4以上が国外へ脱出したジンバブエ
無政府状態、内戦が現在も続くソマリア
利権をめぐる争いが、子供兵を使った内戦に発展、十数年にわたる殺し合いが続いたシエラレオネ
部族対立から100万人が虐殺される事件が発生したルワンダ。
 
このような状況下で、旧宗主国や中国などが豊富な資源を狙い、ネオコロニアリズム
(新植民地主義)を推し進める。
 
特に中国は非常にしたたかである。
極めて治安が悪い地域に中国が数千人〜数万人を送り込み、石油を採掘しているという。
  
マザー・テレサは、「愛の反対は憎しみではなく無関心である」と言った。
 
これほど豊かな日本社会に生まれ育つ我々が、このような状況を知ろうともしないというのは、
何か間違っている。 
自分が何か具体的なアクションを取れないとしても、少なくとも、アフリカで今何が
起こっているのかを知るべきだと思う。
 
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