ダニエル・ピンク「ハイ・コンセプト 『新しいこと』を考え出す人の時代」三笠書房(2006年5月)★★★★☆

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代


考え方自体は、私としてはさほど目新しいものではないのであるが、あらためてこのように
しっかりとまとまっている本は目にしたことがないので貴重な本である。
 
さらに、どのようにして新時代に求められる「ハイ・タッチ」「ハイ・コンセプト」な能力を
身につけることができるか、その方法論を示しているということも評価できる。
 
多くの日本人はロジカルシンキングすらうまくできないから、一部の企業を除き、
一般的な日本企業がこの「ハイ・タッチ」「ハイ・コンセプト」な考え方を理解し、
かつ導入するのには、10年以上かかるのではないだろうか。
 
世界のスピードはどんどん速くなっていく。
日本人はグローバル社会の中で、周回遅れどこではなく2周遅れになってしまうのか。
 

(P.17)
「答えのない時代」のいま、世の中に出たら、知識を持っていることよりも、多くの人の意見を聞いて自分の考えをまとめる能力、あるいは壁にぶつかったら、それを突破するアイデアと勇気を持った人の方が貴重なのである。
これからは、おおいに「カンニングをしろ」という時代なのだ。

 

(P.28)
「ハイ・コンセプト」とは、パターンやチャンスを見出す能力、芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力、人を納得させる話のできる能力、一見ばらばらな概念を組み合わせて何か新しい構想や概念を生み出す能力、などだ。
「ハイ・タッチ」とは、他人と共感する能力、人間関係の機微を感じ取る能力、自らに喜びを見出し、また、他の人々が喜びを見つける手助けをする能力、そしてごく日常的な出来事についてもその目的や意義を追求する能力などである。

 

(P.110)
今、私たちは皆アート・ビジネスの世界にいるのだ。
(中略)ユニリーバの英国本社では他の社員に良い影響を与えようと、画家、詩人、漫画家などを雇用している。あるロンドン北部のサッカーチームでは、チーム専属の詩人を雇っているという。
 
(P.142)
ソニーでは、同業他社の製品はすべて基本的に同じ技術を使っていて、価格、性能、そして特徴に差はないと考えている。市場において製品を差別化できるものは、デザインをおいて他にない。
 
(P.146)
トースターにとって一日の1%が「実用性」を発揮する時間で、99%は「有意性」を示すための時間である。それなら見た目が美しいほうが良いのではないだろうか。

 
上記以外にも、物語、全体の調和、共感、遊び心、生きがいなどのセンスが必要とのこと。
これらはいずれも興味深く有用であるが、書きだすときりがないので割愛。
 
また読み返したい本である。
 
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