奥村研「図解 わかる資産運用」新星出版社(2007年6月)★★☆☆☆

図解 わかる資産運用〈2007‐2008年版〉

図解 わかる資産運用〈2007‐2008年版〉


「資産運用を行わないことのリスク」。
このことを自分としてしっかり認識できたのは最近である。
 
新興国における食糧需要の増加と日本の食料自給率の現状、さらにはBRICsVISTAなど新興国の発展と
それに伴うエネルギー資源の不足だけを見ても、日本において中期的なインフレは避けられない
ことが分かる。
 
また、日本国債の格付けはボツワナと同一であるし、1200兆円にものぼる借金や年金問題という
爆弾を複数化抱え込んだ日本は将来的にデフォルトに陥る可能性もある。
もしそれが現実となれば、円は暴落することになる。
 
さらに、サブプライム問題がきっかけとなり発生している金融危機は、金融工学で生み出された
金融派生商品が生んだ証券化バブル崩壊のはじまりと考えられる。
何でも複雑に証券化し、リスクを覆い隠すことで過度な信用創造を繰り返してきたアメリカ主導型
グローバル経済の限界がきているのである。
 
EU圏も不信に喘いでいる。
先進国が直面する大きな課題に加え、金融危機の引き金を引いたアメリカとの深い経済関係、
経済低迷などが組み合わさり、ユーロは10月末に一時1ユーロ=110円台まで下げた。
 
以上のことからだけでも、様々なリスクが見て取れる。
 
たとえば、
「自分が持つ資産をすべて単一通貨(円建て)で保有していて良いのであろうか」
「インフレ圧力の中、低金利で資産を運用すれば実質の資産価値が減少してしまう」
という危機感を多くの人が持ちはじめている。
 
資産運用は、過去に多くの日本人が考えていたような金儲けの手段ではない。
「資産運用(投資)は危ないからやるべきではない」ものでもなくなっている。
自らが汗水流して獲得した資産を守るために行うものである。
 
こう考えれば、日本人にとって資産運用は、少なくとも検討しなければならない項目である
ことが分かるであろう。
 
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