ベンジャミン・リー・ワーフの言葉

われわれは自然を、われわれの母語によって引かれた線に沿って分割する。われわれが現象の世界から取出すカテゴリーや類型は、自然そのものからは見出しえない。……それとは逆に、世界は万華鏡的な印象の流れであって、われわれの心がそれを組織化するのである。――これはわれわれの心の中の言語体系によるものであるということができる。われわれは自然を分断し、それを概念に組織し、われわれが現にしているような意味づけをおこなう。これは主としてわれわれがそれをこのように組織するという協約に加わっているからである――この協約はわれわれの言語社会全体に適用し、かつわれわれの言語の型の中に集成されている。この協約はもちろん暗黙のものであって成文化されてはいない。しかしその条項を守るのは絶対的な義務である。この協約が認定した資料の組織・分類に従わずに話すことはまったく不可能である。
 
……いかなる人も自然を完全に無色透明に叙述することはできない。自分がきわめて自由だと思っている時でさえ、ある型の解釈を押しつけられているのである。
 
ベンジャミン・リー・ワーフ「言語・思考・現実」(Language, Thought, and Reality)より
(エドワード・ホール「かくれた次元」、P.130)

 
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