M.J.アドラー、C.V.ドーレン「本を読む本」講談社学術文庫(1940年)★★★☆☆

本を読む本 (講談社学術文庫)

本を読む本 (講談社学術文庫)


1940年にアメリカで出版された作品。
 
原題は「How to read the book」であり、まさしく本の読み方を解説する本。
ためになることが書いてあり有益であった。

いまの私たちは、世界について昔より多くを知ることができるようになっている。それは恵まれている。深く理解するために、多く知ることが絶対に必要であるなら、それも結構だろう。だが一から十まで知らなくても物事を理解することはできる。情報過多は、むしろ理解の妨げになることさえある。我々現代人は、情報の洪水の中でかえって物事の正しい姿が見えなくなってきている。
こういうことになったのはなぜか。理由の一つは、現代のマス・メディアそのものが、自分でものを考えなくてもよいような仕掛けにできていることである。

われわれのまわりにあるテレビ、ラジオをはじめ、さまざまの娯楽や情報源も、すべて人為的な突っかい棒にすぎない。このような外からの刺激に反応していると、自分の精神も活動しているような錯覚におちいる。だが、外部からの刺激は麻薬と同じで、やがて効力を失い、人間の精神を麻痺させてしまうのだ。自分の中に精神的な貯えをもたなければ、知的にも、道徳的にも、精神的にも、われわれの成長は止まってしまう。そのとき、われわれの死がはじまるのである。
積極的な読書は、それ自体価値のあるものであり、それが仕事のうえの成功につながることもあるだろう。しかしそれだけのものではない。すぐれた読書とは、われわれを励まし、どこまでも成長させてくれるものなのである。

現代を生きる人々に考える力がなくなってきているのは、テレビの出現と普及が大きくかかわっている
と思っていた。
そのことについて、かなり早い時期から警鐘を鳴らしていた著者に感服。
 
さらに、読書をすることの意義を、明快に説明してくれているから心地よい。
(最近は、この当たり前と考えられる基本を理解してもらえないことが多いので)
 

シントピカルな分析が獲得しようとしている特性は、「弁証法的客観性」という言葉に要約される。
簡単に言えば、シントピカル読書をする人は、あらゆる側面から公平にものを見るようにする。

シントピカル読書を行うことは、みずからクリエイティブな仕事を行うこと、執筆することに
直接の効果を与える。
 
齋藤孝氏の「読書力」と合わせて、
ぜひとも皆様に読んでいただきたい本です。
本を読む大切さ、楽しさ、奥深さが少なからず理解できると思います。
 
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