-1「Octavariumの世界観①」

さて、そろそろ本質(私がそう思っているだけかもしれないけれど)
に触れていきましょう。
 
「Octavarium」という造語を用いて、Dream Theater
メンバーたちは何を表現したかったのだろうか。

今回は、Dream Theaterというバンドの「Octavarium」という
アルバムとアルバム名について考えてみよう。
 
言うまでもなく、Dream Theaterリーダーである
Mike Portnoyが語っているとおり、(※1)
1オクターブの中にある「8度音程」、すなわちCDEFGABCの
各キーをみごとに利用したアルバムの中での曲構成であったり
(これだけでも十分驚くべきことだが)、
その「8」という数字を共通項として「8」に関連する様々な
アートワークや歌詞の仕掛けを盛り込んでいることが、
この造語をアルバムタイトルに用いた、またはこのような曲構成、
内容に仕上げたひとつの理由であったかもしれない。(※2)
この「8」に関する仕掛けの数々を発見する試みだけをとっても、
非常に深いものであるから、当然、熱狂的なファンの間で
様々な発見が無数に報告されている。
 
一方、この「Octavarium」をタイトルとした曲の歌詞を紐解けば、
今度はその造語や歌詞に込められた文学的、哲学的な内容に
引き付けられる。(※3)
その他、ここでは語りきれないくらい、いろいろと詰まったアルバム
なのであるが、このコラムでは敢えてこれらに深くは触れない。
 
さて、いずれにしても私としてみれば、この造語に出会えたおかげで、
またこの曲を聴けたおかげで、根本の部分をあらためて思考する
ことができた。
(このもっとも深いレベルでの「思考」機会は、私の身に
 実際に数年感覚で訪れているのだから、これもまさに
 「Octavarium」そのものに違いない。)
 
それは20年以上私の頭の中で考え続けてきたもっとも重要な、
自分を貫く根幹と結びつき、またひとつあらたなフェーズへ自分を
昇華させてくれた。
 
この造語の奥深さと本当のせつなさ、更にその壮大なせつなさの中で、
完全にそのせつなさを振り払ったり、否定したり、ましては忘れ去る
ことなく、むしろ積極的にそのせつなさを抱えながら強く前を
向いて歩いていくための「あるもの」を感じたような気がする。
(もちろん「Octavarium」の世界観の中では、
 まさにこのように自分自身が感じたことを自分自身が
 否定する日が来るのだが。)
 
この言葉は一組のアーチストによってたまたま作成された造語だし、
本日現在Wikipediaで検索してもヒットしない。
私はこのコラムの中で、自分自身が勝手に定義した「Octavarium」
の世界観を表現してみたい。
私が思考し、これから勝手に紹介する定義が、その言葉を
生み出したDream Theaterのメンバー当人たちのそれと違っても、
大して大きな問題にはならないだろう。
 
なお、このOctavariumの世界観は私自身の世界観を構成する
ひとつの要素、またはアプローチ手段であって、
私自身の世界観すべてではないことを念のため記しておきたい。
 
いつの日か、これらのアプローチを無限に繰り返して、
私自身の世界観を構成するすべての要素を、
文章を用いて完全に表現することができたらすばらしいのに。
それがいくつもの言語で、たくさんの人に届いたら
どういう気持ちなのかな。
 
これが夢なのかもなぁ〜。
 
<続く>
 
※1
Mike Portnoyコメント
http://homepage1.nifty.com/musicsite/theater_octa.html
から抜粋。 

このアルバムを聴き込んだ人にとっては今は明白なことだが...。これは音楽で言うオクターヴのコンセプトを使っているんだ。オクターヴは8つの音からできている。このアルバムではF〜Fまでを使っている。FGABCDEFだね。それに付随した半音F#、G#、A#云々...音符は全部で13あるが、アルバム「Octavarium」の音楽はそれら全てを網羅している。歌詞の面もそうだ。アートワークもそうだ。要するにオクターヴのコンセプトで音楽の絵を描いた。そもそもオクターヴのコンセプトを思いついたのは、これが俺たちにとって8枚目のスタジオ・アルバムだったからだ。そしてその間に5枚のLiveアルバムを出していたから、そこから俺たちがこれまで出してきたアルバムの数と音楽で言うオクターヴとの間に関連性があることを見い出した。そこでそのコンセプトを使ってアルバムを作ることを思い立った。アートワークを見るとここに描かれている球体はどれも音譜を表しているのだ。そしてアルバムの曲はどれもしかるべきキーで書かれている。"The Root of All Evil"はF。そして"The Root of All Evil"と"The Answer Lies Within"の間にはちょっとしたサウンド・エフェクト入りの小曲があって、この2曲を繋げているけども、それは最初の鳥で表されている。曲と球体、つまりFGABCDEFという音階で並んでいて鳥はF#、G#、A#、C#、D#を表している。それはまるでピアノを見ているようで、曲もそれに合わせて書かれている。球体はそれぞれの曲を、鳥は曲と曲との間の繋ぎを表している。曲のキーは順番にFGABCDEFとなっている。このアルバムの全体には音楽とコンセプトとの直接的相関関係がいくつものレベルで存在している。これがグランド・コンセプトだった。
 
※2 
"octave" とは、ラテン語で「8番目」を意味する octavus に由来する
フランス語。Wikipediaから抜粋。
 
※3
Dream Theater「Octavarium」歌詞
http://www.songmeanings.net/lyric.php?lid=3530822107858545729